「欠点を持っていない聖人などいない
古今東西使いまわされた「少年交流もの」
しかもヴィンセント、何も教えてねえし(笑)
結局お金の問題も解決したのかね?
原題は「St.VINCENT」
酒浸りでギャンブル好き、借金まみれのうえ
ダンサーで妊婦の娼婦ダカ(ナオミ・ワッツ)と付き合っている
気難し屋のヴィンセント(ビル・マーレイ)
ある日、お隣にシングルマザーのマギー(メリッサ・マッカーシー)と
12歳のオリバー(ジェイデン・リーベラー)が引っ越してくる
早速オリバーは学校でいじめにあい
おまけに看護師の母親は残業で帰ってこず家に入れない
ヴィンセントは渋々オリバーを我が家に入れ
そしてオリバーに「社会勉強」を教えていくのです(笑)
最初はただのろくでもないクソ親父と思っていたヴィンセント
だけど彼には重度の認知症の妻がいました
借金はその妻を高級施設に入れたいがためのものだったのです
(だったらギャンブルでなくて働いて稼ごうね)
お腹の減っていそうだったら何かを与える
ヴィンセントにとって誰の子かわからないダカのお腹の子にしても
自分の出来る範囲で尽くそうとしている
たとえそれが見返りを求めた行為だったとしても
誰かのために潔く犠牲になることは難しい
そして妻の死後ヴィンセントが捨てたごみの中から
彼のベトナム戦争の従軍経験の資料や、彼の知人からの聞き込みで
学校の「私たちの周りの聖人」という課題発表会で
オリバーはヴィンセントを聖人として発表する決意をします
そのあとの発表は「セント・オブ・ウーマン」まんななんですが(笑)
こういうクライマックスは素直に感動できます
これはお伽話であるけど、素敵な愛情に溢れています
やっぱり誰もに、幸せになってほしい
エンドロールでヴィンセントが調子っ外れで歌うボブ・ディランの
「ShelterFrom The Storm」(嵐からの隠れ場所)が、またよかった
まるでヴィンセントの人生を歌っているようでした
【解説】allcinemaより
ビル・マーレイが近所に引っ越してきたいじめられっ子の少年と奇妙な友情を築いていく不良老人を演じて高い評価を受けたハートウォーミング・コメディ。出演は、少年オリバー役にジェイデン・リーベラー、共演にメリッサ・マッカーシー、ナオミ・ワッツ。監督はCMの世界で活躍し、本作が長編デビューのセオドア・メルフィ。
酒とギャンブルにまみれた初老の独身男ヴィンセントは、偏屈で頑固な近所の嫌われ者。ある日、その隣にシングルマザーのマギーと小学生の息子オリバーが引っ越してくる。仕事で忙しいマギーは、なかなか息子の面倒を見ることができない。そんなマギーから子守りを頼まれ、すかさず報酬を要求するヴィンセント。どうにか金額も折り合い、子守りを引き受けたものの、小学生のオリバーを酒場や競馬場にも平気で連れ回し、彼がいじめられていると知るや、相手の鼻をへし折る過激な撃退法を伝授する始末。それでもまるで対照的ながら2人は妙にウマが合い、いつしかオリバーは周囲の嫌われ者の意外な素顔を垣間見ていくのだったが…。