原題も「ONEFROM THE HEART」(かけがえのない大切なもの)
コッポラの「ゴッド・ファザー」(1972)「カンバテーション」(1973)
メロドラマ的ミュージカルですが
ミニチュアをいちから作ったブルーバック合成特撮
建物は全て室内セットに巨大な飛行場まで作ったとか
人工美の極致を目指したようですが
しかし本作の大コケにより、コッポラ所有の
「ゾーイトロープ・ロス・スタジオ」は倒産
巨匠と呼ばれたコッポラも、その後はただの雇われ監督になってしまいます
実際見て、映像はいいものの、ストーリー的に
失敗した理由はいくつもあげられますね(笑)
セックスする時だけ仲良くなり、あとは言い争いばかりしている
そこに二人の心情を語るようなトム・ウエイツと
クリスタル・ゲイルの歌がかぶさります
お互い言わなくてもいいことまで言い争い、相手の欠点や失敗を罵る
ついにキレてしまった女は家を出ていきます
そしてお互い新しいパートナーと出会うのですが(そしてすぐ寝ちゃう)
どうしても相手のことが忘れられない
主役のふたりも地味すぎるけど
ハンクを一目で好きになるのもありえない(完璧にハンクの妄想)
やがてハンクはフラニーを取り戻すためストーカー化し
フラニーの友人マギーの家に行き大騒ぎして
壁に車をぶつけて駐車
レイの住む建物の屋根を突き破るため電線を破壊し感電
部屋に侵入し裸のフラニーを拉致する
器物損壊に不法侵入に掠取誘拐
これって犯罪以外のもの何ものでもありません
全くもって共感できない
飛行機乗り場まで追いかけていくハンク
他人に対してのマナーも何もありはしない、ただの迷惑行為
愛していれば何をしても許されると思っているのでしょうか
完璧に共感できない
だけどハンクのいる家に帰ってしまうフラニー
忘れられないから、愛しているから
ばかだよな
こんな嫉妬男、少し時間がたてば
レイと寝たことに、またとことん因縁つけられるのに
でもこういう腐れ縁というのも現実には多くあるのでしょう
(最終的には別れる ← でもまた同じようなダメ男と付き合う)
しかし作風は「ラ・ラ・ランド」(2016)の先駆け的要素がたっぷりで
もしかしたら、この作品の失敗が教訓となったおかげで
「ラ・ラ・ランド」の成功があったのかも知れません(笑)
マニアックな楽しみ方はできますし
痴話喧嘩が絶えない、ストーカー気質を感じる人にとっては
もしかしたら思い入れのある1本になるかもしれません
【解説】allcinemaより
フランシス・コッポラ監督によるロマンティック・エンタテインメント。7月4日の独立記念日を明日に控えた、ラスベガスの街。ツーリスト・ビューローに勤めるフラニーの夢は南洋のボラボラ島へ行くこと。そして同棲生活5年目を迎える恋人ハンクはそんな島へ行く事よりも彼女との平凡な家庭生活を密かに望んでいた。そしてそのような性格不一致の二人はささいな事からケンカ、フラニーは遂に家を出ていってしまう……。