アイ,ロボット(2004)




これ、作り方によってはすごくいい作品になったと思います
原作はアイザック・アシモフ1950年に発表した短編
「われはロボット」(ハヤカワ文庫
ロボット工学三原則による近未来SFアクション



その原則とは
第1条:ロボットは人間に危害を加えてはならない
    また、その危険を看過することによって
    人間に危害を及ぼしてはならない
第2条:ロボットは、人間からあたえられた命令に服従しなければならない
    ただし、あたえられた命令が第一条に反する場合は
    この限りではない
第3条:ロボットは第一条および第二条に反するおそれのない限り
    自己を守らなければならない

というもの



2035年のシカゴ、事故によって水中に落ちてしまった
スプーナー刑事(ウィル・スミス)とひとりの少女
一体のロボットが救助に向かいますが
深く沈みこんでしまい、命の保証のない少女より
確実に助かるスプーナーを選び引き上げます


ロボットの行動がいかに合理的なものであっても

水中に消えゆく少女を見ていたスプーナーは
少女を見捨てたロボットの行動が許せなく
それからロボット嫌いになってしまうのです





私たちは頭が良すぎて、あまりに合理的な行動を見ると
納得がいかず、冷たさを感じる時があります
ロボットでなく、たとえ人間であってもです
法律家、医者、政治家や事務次官


また三原則を守ったとしても

ロボット知能や意思があれば善と悪が生まれるという可能性もあります
そうなればロボット同士でも、人間とロボットの間でも
問題や摩擦が生じてしまうのはあたりまえでしょう


USロボティクス社のマザー・コンピューターは

必要かつ最小限の人間が犠牲になれば
ほかの多くの人間に及ぶ危害を総計的に減らすことができる
そう判断してしまいます


そのためには必ずしも人間の命令に従わなくてもいい

ロボットたちは一斉に誰にも従わなくなってしまうのです



ロボット工学の第一人者であるラニング博士の殺人容疑で署に連行された
サニー(アラン・テュディック)と名乗るロボット
サニーは「ロボット3原則」に従ってプログラミングされていませんでした
そしてサニーはスプーナーのことをロボットを解放する男だといいます


まもなく、人間に対するロボットたちの反乱が始まり

スプーナーとサニー、そしてUSRの主任ロボット心理学者である
スーザン博士ブリジット・モイナハン
すべての命令を下していたマザー・コンピュータ
ヴィキの破壊に向かうのです


次々とロボットが襲ってくる戦闘アクションは迫力ありますし

安易に男女のもつれを絡めなかったのも正解
ウインクがラストで上手く効いていました



ただロボットの造形がちょっとキモイ(笑)
これは好きになるのに時間のかかる顔
寺沢武一氏の漫画「コブラ」のレディみたいなタイプなら
すぐ応援したくなるのに



「良いロボットも悪いロボットも作る人間に左右される」

これから先、ロボットはますます身近な存在になってきます
近い将来には自動車保険ならぬ「ロボット保険」も誕生するかもしれません
あ、アイディア私ですから(笑)


とにかく、作り方によってはすごくいい作品になったと思います

もう少し難解にして、問題提示したほうがよかったでしょう




【解説】allcinemaより

SF小説の巨匠アイザック・アシモフの短編集『われはロボット』をモチーフにしたSFサスペンス・アクション。有名な“ロボット3原則”によって人間とロボットが共存する近未来の地球を舞台に、ある殺人事件に疑問を抱く一人の刑事とロボットとの熾烈な攻防を描く。監督は「クロウ/飛翔伝説」「ダークシティ」のアレックス・プロヤス。主演は「バッドボーイズ」「メン・イン・ブラック」のウィル・スミス。ちなみにアシモフによって提唱された“ロボット3原則”とは、(1)ロボットは人間に危害を加えてはならない、(2)ロボットは(1)に反しない限り人間から与えられた命令に服従しなければならない、(3)ロボットは(1)及び(2)に反するおそれのない限り自己を守らなければならない、というもの。
 2035年、シカゴ。街中では家庭用ロボットが普及し、人間の生活に必須なものとなっていた。ある日、巨大企業USロボティックス社に勤務するロボット工学の第一人者アルフレッド・ラニング博士が謎の死を遂げる。ロボットを毛嫌いするシカゴ市警のデル・スプーナー刑事は、博士が開発したNS-5型ロボットの“サニー”に疑いの目を向ける。捜査に協力するUSロボティックス社のロボット心理学者スーザン・カルヴィン博士は、“3原則”を理由にロボットが人間へ危害を加えることは絶対にあり得ないと主張するのだが…。