一触即発の状態が続いている38度線の「帰らざる橋」
映画のセットは、実物そのままの出来だということです
観光客の帽子が風で吹き飛ばされて38度線を超えるシーンは
それだけでも緊張感がありました
そのJSAである晩銃声が響き
北朝鮮軍の上尉と若い兵士チョン・ウジン(シン・ハギュン) の
そして、「帰らざる橋」では韓国軍兵長イ・スヒョクが
北は南の奇襲テロと
両者の主張は平行線をたどりました
そこで中立の立場であるスイス軍から
韓国系スイス人である女性将校、ソフィー少佐が捜査のためやってきます
容疑者であるスヒョク(イ・ビョンホン)の取り調べを始めます
しかし捜査が進むにつれ、スヒョクと共に警備にあたっていた
ソンシク(キム・テウ)一等兵が自殺してしまうのです
ついにスヒョクから語られる男同士の義理と、友情と、裏切りの物語
彼の存在が私たちをこの作品にとても感情移入させてくれます
ギョンピル中士はアフリカなどの外国でも活躍した戦士ですが
反逆罪に問われ、上官から虐められ危険な前線の歩兵の任に就いています
というだけあり、温厚な性格ながらいざという時には
ある訓練の日、スヒョクが誤って38度線を越えてしまい
しかも地雷を踏んで身動きが出来なくなったところを
ギョンピル中士は助けます
「命の恩人」であり、その温かい人柄に好感をもったスヒョクはそれから
石に結びつけた手紙を境界の川越しにやりとりするようになるのです
北の歩哨所までギョンピル中士に会いに行きます
4人は煙草を吸い、笑い、雑談やゲームで盛り上がります
特に印象深いシーンはギョンピル中士がチョコパイを口に入れた後
スヒョクに「南に来なよ、チョコパイを腹一杯食えるぞ」と言われた時
怒った表情を見せながら、口の中のチョコパイを吐き出し
「俺の夢は南よりも美味しい菓子を北で作ることだ
一度吐き出したチョコパイをそのまま、また口に入れるところです
なんと韓国兵役期間中の軍人が食べたいものの1位が
なのでスヒョクが持ってきたチョコパイも兵役期間中なので
誰かに差し入れられたものであり、貴重なものになるそうです
(このパイはロッテではなく、オリオンのチョコパイということ)
そんなふうに差し入れをしたり、プレゼントをしたり
交流によって親睦を深めかけがえのない友情をはぐくむ4人
しかし、ある晩4人が一緒にいるところを北朝鮮軍の上尉に見つかった瞬間
その友情が「殺るか殺られるか」という
動揺したソンシクは取り乱し引き金を引き
(スヒョクの記憶では)無残にウジンを射殺してしまいます
スヒョクでさえ何度も至近距離でギョンピル中士に向かい
弾切れでなければギョンピル中士は殺されていたでしょう
一貫して嘘の供述を述べ、尋問で追い詰められたスヒョクの前では
とっさに渾身の芝居を打って彼を自供から救いさえします
「ギョンピルは、スヒョクがウジンを撃ったと陳述しているけど
このとき、スヒョクは、ほかならぬ自分がウジンに致命傷と
なる銃弾(11発中の2発目)を撃ったことに初めて気づいたのです
持ち主に返された友情の証のライター
そしてこれが、自殺への引き金になってしまうのです
そんな問いをシンプルにストレートに問いかける秀作
にもかかわらずサスペンス性もあり
同じ民族を何がここまで憎しみあわせるのか
それは「思想」と「政治」という簡単な答えであるにもかかわらず
人類が戦争を終結させることは何て難しいことなのでしょう
ラストの観光客の撮った、1枚のモノクロの写真が
【解説】allcinemaより
南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(JSA)で起こった射殺事件。生き残った南北の兵士たちは何故か互いに全く異なる陳述を繰り返した。両国家の合意のもと、中立国監督委員会は責任捜査官として韓国系スイス人である女性将校・ソフィーを派遣。彼女は事件の当事者たちと面会を重ねながら徐々に事件の真相に迫っていく。そこには全く予想外の「真実」が隠されていた……。韓国で「シュリ」の記録を塗りかえ歴代興行収入No.1となったヒューマン・ポリティカル・サスペンス。