兄とその妹(1939)



戦前の作品ですけれど、ずいぶんとお洒落ですね
兄は紳士的ですし、妹はスタイリッシュで見事な美脚

そして、新婚夫婦と旦那方の妹が
一緒に仲良く暮らすという不思議な物語

紅茶とバタートーストの朝食
銀座ではアイスクリームを買うとドライアイスがついてきて
西洋的な文化も普通に馴染んでいたようです

しかし、いつの時代も妬みや僻みはあるもの
碁が好きな兄は同じ趣味の上司から可愛がられます
そのことを同僚たちはよく思っていません
妹に良い縁談がくると出世のためと言われてしまう

兄が出世のために仕組んだ縁談と
会社の仲間から軽蔑されないように
妹は縁談を断ることにします

それでも、嫌味を言い続ける同僚
悪評をたてては同調者を集めます
ついには殴られ、応戦したことで兄は喧嘩をしてしまいます
嫌気がさした兄は辞表を出してしまいます

退職せずに出世して同僚を見返せばいいのにと思いましたが
主人公は本当に真面目な人なのですね
他人に意地悪などできない人間なのでしょう

兄は中国へと赴任されることになりました
もちろん、妹も着いていきます
そして、兄が出世するまで結婚しないというのです
兄とその妹という家族愛

現代は昔と違って家族の絆が薄くなったといいます
でもこんなに濃い兄弟愛は私には無理だな(笑)
今風なほうがいい(笑)

映画としては名作だと思います



【解説】allcinemaより
 島津保次郎が監督と脚本を担当し、島津の代表作といわれる作品。松竹で監督した最後の作品でもある。いわゆる「小市民映画」のひとつで、火鉢でトーストを焼くシーンなどが登場する。1956年に再映画化された。
 サラリーマンの間宮敬介は妻のあき子、妹の文子との三人暮らし。同じ趣味を持つことから毎晩会社の専務の碁の相手をしており、一部の同僚からは重役にへつらって昇進したなどと陰口をたたかれる。他の会社に勤める文子は、出入りの実業家から結婚を申し込まれるが、その実業家が敬介の会社の専務の甥だったことから、またもや同僚からやっかみを受けてしまうことに。