Dear フランキー(2004)




物語の途中から、もう涙がこぼれてしまいました。
わかりやすいストリーで小品ですが
感動できる秀作だと思います。

スコットランドの寂れた港町にやってきた母子家庭の親子。
息子のフランキーは難聴で言葉を話しません。
母親のリジーはフランキーに、父親は船乗りで
世界中の海を航海しているのだと嘘をつき続けています。

ある日、クラスメイトのいじめっことフランキーは
父親が逢いに来てくれるという賭けをしてしまいます。
悩むリジーは父親を代行してくれる男性をさがすために
夜の酒場で男漁りをします。

そんなリジーを見かねた同じ職場の友人が
ひとりの男性を紹介してくれました。

ジェラルド・バトラーがカッコいいですね。
寡黙で不器用だけれど男らしく、いかにも海の男風で。
ずっと逢いたかった、夢に見た父親は
理想通りのやさしくて渋い船乗り。

嬉しい、嬉しい、嬉しい。
地面に落ちていた石ころでさえ、父親から受け取ったそれは
フランキーにとっては宝物になるのです。

ストレンジャーのやさしさ。
そして、本当はすべて嘘と知っていて
母親を思うフランキーのやさしさ。

親が思うよりもずっと
子どもは冷静にすべてを観察しているのでしょう。

ストレンジャーはきっとまた
海の向こうから帰ってきてくれる。
そんな未来を予感させてくれるラストもいいですね。
素敵な余韻を残してくれました。

登場人物がそれぞれにいい味を出していました。
港町の静かな風景を映し出すカメラもいい。
そしてフランキーの健気さに、とにかく涙。

お気に入りにしちゃいます。



【解説】allcinemaより
夫の暴力から逃れて暮らす母子の絆を描いた感動作。家族の秘密を知らず、会えない父に想いを募らせる息子を悲しませたくないばかりに嘘の話を語って聞かせていた母親が、そんな家族の運命を見つめ直していく姿を優しい眼差しで綴ってゆく。監督はこれが長編デビューのショーナ・オーバック。主演は「キッド」のエミリー・モーティマー
夫のたび重なる暴力に耐えかね、祖母と幼い息子フランキーを連れ、逃げ出したリジー。以来、3人はスコットランド中を転々としながら暮らしていた。そうした事情を知らずに育ったフランキーはいまや9歳となり、まだ見ぬ父への想いは強まるばかりだった。そんなフランキーに、“父親はアクラ号で世界中を航海しているので会えないの”と説明するリジー。彼女は父親のフリをして息子宛の手紙を書き続けていた。そんなある日、本当にアクラ号という船が彼らの港町に寄港することに。喜ぶフランキーを前に、リジーはある決断をするのだが…。