ライムライト(1952)

 
 
「人生は恐れなければ、とても素晴らしいものなんだよ
 人生に必要なもの
 それは勇気と想像力
 そして少しのお金だ」
 
喜劇の王様と謳われているチャップリンですが
私にとってのチャップリンプラトニック・ラブ映画の最高峰。
 
「生きて、苦しんで、楽しめ。人生は美しくてすばらしいんだ」
 
落ちぶれて誰にも相手にされなくなった老芸人。
彼は脚がマヒしてバレエが踊れなくなった踊り子を必死に励まします。
その言葉はどれも金言。
そしてラストまで名言がシャワーのように降り注ぎます。
 
この作品もかなり前に見ていたのですけれど
私の中で踊り子のテリーは若い才能あるピアニストと
結ばれていたような気がしていたのですが、そうではありませんでした。
彼女は最後まで自分を助けてくれたカルベロを愛し続けたのです。
 
若い踊り子が幸せになってくれることを願うカルベロ。
老芸人の舞台での復活を願うテリー。
お互いがお互いの再びの成功を信じて
大切だと思う相手のために努力する・・
 
このせつない無償の愛の描き方に感動するのです。
 
もうひとりの喜劇王キートンとの共演も笑えませんでした。
ただただ、とても切ないだけ。
 
「死と同じように避けられないこと。
 それは生きることだ」

 
誰であっても、いつか社会に必要とされなくなるときが来るのです。
哀しいけれどそれは事実なのです。
それでも励ましあって助け合って生きていかなければならない。
それでも誰かのために、何かのために、役に立つかもしれない。
 
そんな人生を考える作品。
大人の映画でしょう。
 

 
【解説】allcinemaより
人生への絶望から自殺を図った踊り子テリーを救った老道化師カルベロは、愛に溢れた笑顔をもって彼女を元気づけた。今の彼には、かつての栄光はなく、生活も楽ではなかったが、何故かこの少女を見捨てることはしのびなかったのだ。大切にしているバイオリンさえも質に入れ、彼女の回復を祈るカルベロ。そして彼はそれまで気乗りしなかった舞台にも立つ決心をするが……。「チャップリンの独裁者」から戦後第1作目の「チャップリンの殺人狂時代」を通して“アカ”呼ばわりされ、非米活動委員会の追求、議会の国外追放提案やマスコミの攻撃などを浴びたチャップリンが、第二の故郷ともいうべき住み慣れたアメリカを捨てて、母国イギリスに戻って発表した作品。落ち目の道化師と美しいバレリーナとのひめたる恋、懐かしい舞台に返り咲き喝采を浴びながら熱演の果ての彼の死など、さながらチャップリン自身の心境を語るかの様な印象が強い、晩年の傑作。