マイ・プライベート・アイダホ(1991)




腐女子でなくとも、腐女子になってしまいます(笑)


原作はシェイクスピアの「ヘンリー四世」
それをもとにした「オーソン・ウェルズのフォルスタッフ」の
オマージュということですが
アメリカン・ニューシネマの影響も感じました

ナルコレプシ-という睡眠発作がおこる難病のため
路上に何度も倒れてしまうマイク(リバー・フェニックス)の姿は
リバーの最期と重なってしまい悲しくなります





父親を知らず、12歳のとき母親にも捨てられ
ポートランドの街角で男娼として立ち日銭をかせぐマイク
自傷行為のように男に抱かれますが、マイクの射精する瞬間が
家が落ちて砕ける映像なので、いやらしさや汚さはほとんど感じません

仲間のスコット(キアヌ・リーブス)は
大金持ちで望めばなんでも手に入れられる、家出した市長の息子
発作を起こしてしまうマイクの面倒をよく見てくれて
ストリート・キッドのボス的存在であるボブ(ウィリアム・リチャート)を
マイクと一緒にからかったりする一番の親友

ある日マイクはスコットを誘い、兄と母に会うために
バイクで二人乗りをしてアイダホに向かいます





切ない演技をさせたら、リヴァーは本当にピカイチ
旅の途中でマイクがスコットに告白するシーンは
あまりにも痛々しい

しかしアイダホで兄と再会したあと
ローマに行っても母親を見つけることはできませんでした
美少女と恋したスコットを残し、ひとりポートランドに帰り
また男たちに抱かれる毎日に戻っていく

ラストはどう解釈すべきでしょうか
マイクを拾っていったのは、やはり兄のリチャードでしょうか
でも私はスコットであって欲しい、そう願いました





ホモセクシャル、売春、近親相姦というテーマにもかかわらず
ガス・ヴァン・サントの瑞々しい映像で
たとえふしだらな仕事をしていても心は純粋という
ゲイの青年の心情がうまく描かれていたと思います

でもやはり、リバーの演技があったからでしょう
早すぎた死が今でも惜しまれます



【解説】allcinemaより
鬼才ガス・ヴァン・サント長編映画第2作。ストリート・キッズのマイクは、ポートランドの街角に立ち、体を売って日々を暮らしていた。彼には、緊張すると眠ってしまうという奇病がある。そんなマイクの親友は、ポートランド市長の息子でありながら、家を飛び出し、やはり男娼をして生きているスコット。ある日マイクは自分を捨てた母を捜す決意をし、スコットと共に、兄リチャードが暮らす故郷アイダホへと向かう。手掛かりを追ってスネーク・リバーそしてイタリアまで旅する2人。しかし2人はイタリアで、お互いの進む道の決定的な違いを知らされる……。ホモセクシャル、近親相姦という要素をバックグラウンドにし、一風変わったロード・ムービーとも言える様相を呈した本作は、“家庭”とアイデンティティを求めて旅する姿がテーマなのだ。監督のガス・ヴァン・サントは、眠りに落ちたマイクの夢に常に母親のいる優しい家の情景を登場させ、この“家への回帰”というテーマをファンタジックにかつ詩的に描いている。