王になろうとした男(1975)





女性に「お姫様願望」があるように
「王様願望」、「カリスマ願望」が
男性にはあるというのは本当なのでしょうか

ディズニーがお姫様願望を叶えてくれるなら
こちらは男性のロマンと友情、奇想天外な冒険という
夢を叶えてくれる作品でしょう
(ただし最後は女性で失敗してしまいますが)

見る前には「フリーメイソン」という友愛結社について
調べておくとより映画が理解できると思います


サー・コネリーとマイケル・ケインは元軍人仲間ですが
盗みや武器の密輸など、詐欺師のような暮らしをしていました

そんなふたりが新聞記者である
クリストファー・プラマーのもとにやってきて
ヒマラヤの奥にあるカフリスタンという
アレキサンダー大王の遠征以来白人が足をふみ入れたことのない
未開の地に行き王になるという計画の証人になってくれというのです





荒野に大河、吹雪の雪山に雪崩
さすがスケールの大きさはジョン・ヒューストンらしい
だけど時代的にも、現実にも、こんな旅無理に決まってる・・
そう思いながら鑑賞しましたが
実在した人間がモデルになっていると知り驚きました


奇跡的にカフリスタンにたどり着いたふたりは
ビリーという英国人と知りあい、村の人間に武器を与え戦い方を教えます
そして胸に矢が刺さっても(服の下のガンベルトのおかげで)
死ななかったコネリーを人々は神と讃えるようになるのです

本当に自分が神になったかのような錯覚に陥るコネリー
一方のケインは冷静で自分を見失うことはありませんでした
財宝をもって英国に帰ろうとコネリーを説得するももの
彼は現地に残り、平民の美しい娘を妻にするというのです
そのことが神の地位から彼を引きずり落とすことになります





コネリーもケインも、実にうさんくさくて滑稽
だけど諦めの早さが妙に心地よく
愛すべきキャラクターに仕上がっています

雪山で死にそうになった時も爽快でしたが
ラストですべてを失い、命さえも失う時になって
歌う英国の歌は感動的

首と黄金の王冠を持ち帰ったのも
コネリーとプラマーに対する、ケインの友情の証でしょう

先進国の人間の驕りについても考えさせられますね
今見ると、少し野蛮な内容にも感じられますが
名作に間違いはないでしょう



【解説】allcinemaより
秘境カフィリスタンに富を求めて旅立った二人の男、ドレイポットとカーニハン。彼らはヒマラヤを越え、未開の部族に英国式の軍事訓練を施した。その軍隊を使って、彼らはカフィリスタンを次々と平らげていく。そして、ドレイポットの胸にかけられたメダルを部族の長が認めたとき、彼らは神としてあがめられることになる……。ノーベル賞作家キプリングの原作を名匠J・ヒューストンが映画化したダイナミックで奇妙な冒険映画。