まだ空襲の焼け跡が残る、戦後まもない東京
舟暮らしに電車住宅、当時の暮らしがわかります
普通の人に、金持ち
警察官、泥棒、商売女
戦争のため精神がおかしくなってしまった青年
いろいろな人間が入り混じって生活しています
そんな人々を相手にしている老町医者
誰にでもやさしく、時には厳しく
病気やケガを治すだけではなく
人生についても「先生」のような存在
戦後再出発してから1年の記念日
先生は「本日休診」の札を掲げます
この機会にゆっくり昼寝でもしようと思いました
だけれどすぐに、息子が発作を起こしたと言う婆や
警察とやってきた暴漢に襲われた娘
指をつめるため麻酔を打ってくれとヤクザ
盲腸患者がかつぎこまれ
ついにはお産があるという
(このころは男女の病室が一緒だったのですね)
次々と患者がやってきてしまう
とてもテンポがよく
次から次へと珍事が起こっていくので飽きませんね
貧しくても、おおらかな時代
結局、今日も先生は休めませんでした(笑)
滑稽さの中にある残酷を絶妙なバランスで
人情喜劇としてうまく完成させていると思います
そして戦後からの復興の願いを込めたラストシーン
記録映画としても貴重でしょう
知らざれる傑作なのではないでしょうか
【作品情報】MovieWalkerより