愛のメモリー(1976)

 
 
 
これもまた至極残念な邦題です。
このタイトルにこの画像ですよ?
妄想家の私には危険すぎます。
なにが飛び出すかわからない。笑
 
デ・パルマ版「めまい」、ヒッチコック監督のオマージュ的作品ですね。
ただしこちらの作品は主人公がめまいをおこすのではなく
デ・パルマ監督作品らしいグルグルと360度回転するカメラに
こちらがめまいをおこしそうになりますが。笑
 
誘拐された妻子を警察の捜査ミスで死なせてしまった、不動産業を営むマイケル。
16年後、出張先のイタリアでマイケルは
妻そっくりの女性サンドラに出逢い恋に落ちます。
サンドラと結婚するため彼女をアメリカに連れ帰ったマイケル。
しかしサンドラまでもが誘拐されてしまうのです。
 
序盤からの表情で共同経営者が黒幕ではないかとか
サンドラは実は死んだはずの娘ではないかなど
先の展開が予想できてしまったのは残念でした。
 
しかし妻そっくりのサンドラに夢中になり回りが見えなくなってしまう
マイケル役のクリフ・ロバートソンは巧い。
黒幕役のジョン・リスゴーもいかにも悪人顔でいいですね。
 
自分を見捨てた父親に復讐しようとした娘。
しかし自分もまた騙されていたことに気が付きます。
空港での父親との再会
「パパ、パパ」と抱き合う二人。
 
感動的と思われるシーン・・・
 
しかし娘を抱きしめながら
(音楽で言葉が消された)マイケルの口がささやいていたのは
亡き妻の名前「エリザベス」でした。
マイケルの心は過去に囚われ、本当に狂ってしまっていたのです。
 
まるでこれこそサスペンス音楽だ!と訴えているような
この作品でも素晴らしい仕事をしています。笑
 
デ・パルマ監督ファンなら好みの作品でしょう。
 

 
【解説】allcinemaより
妻と幼い娘を誘拐された上に事故で失ってしまった男。16年後、彼は想い出の地フィレンツェで妻と瓜二つの女性と出会い恋に落ちるが、またしても彼女が誘拐されてしまう……。「めまい」を想起させるという指摘は事実だが、デ・パルマポール・シュレイダーの脚本、ヴィルモス・ジグモンドの撮影、バーナード・ハーマンの音楽、そして主演二人の魅力を得て、知的で叙情的な作品を作り上げた。ヒッチコック・タッチのミステリーと言ってしまうのは簡単だが、そういう作品が簡単には作れない事を認識すべきだ。