悪人(2010)


 
 
 
「目の前に海があると、何処へも行けない気がするんだよ」
 
みじめな男と女の刹那。
 
なんの娯楽もない地方の田舎町。
金髪の青年がGTRで峠道を走ります。
これも日本のひとつの風景。
ストリーそのものに共感する部分はありませんでしたが
でも最後までいっきに見れました。
 
長崎で土木作業員をしながら祖母と暮す清水祐一と
佐賀の国道沿いを離れることなく紳士服の量販店で働く馬込光代。
出会い系サイトで知り合ったふたりは待ち合わせをします。
すぐセックス、そして惹かれあいます。
 
しかし祐一は、やはり出会い系サイトで知り合った
保険外交員の佳乃を殺した殺人犯でした。
 
佳乃は顔は可愛いけれど性悪な女性。
山道に置き去りにされた彼女を助けようとした祐一のことを
「レイプされたって言ってやる!」と罵ります。
 
そんな奴らと関わり合いなんてもたなければいいのに。
黙って立ち去れば良かったのに。
よくも悪くも自分と違う世界の人間と付き合うとロクなことはない・・
私はそう思います。
 
祐一と、年上風の光代が
お互い好みではないはずなのに惹かれあったのは
たぶん同じ世界の人間だったからだろうと思います。
孤独という名の世界。
 
だけれど、いくら優しい男でも
祐一は人を殺した悪人なのです。
人殺しを匿った光代もまた悪人になるのです。
 
援助交際していた佳乃も悪人。
佳乃を山道に捨てた圭吾も悪人。
圭吾を襲おうとした佳乃の父親も
祐一を捨てた母親も
祖母を騙した催眠詐欺師も・・・
 
世の中は自分の気持ちや利益だけを優先する
悪いヤツだらけなのです。
 
光代の首を絞める祐一。
光代を被害者にして警察から救うためだったのです。
もしかしたら殺した方が楽になれると
本気で思ったのかもしれません。
 
なのに「これは窒息プレイなのかしら?」と
思ってしまった・・・笑
私もしょうもない悪人ムービーファンです。
 
ラストのラストで違う方に妄想がいってしまい
感動作かどうかもわからなくなりました。
数々の受賞をした話題作だったというのに
・・ごめんなさい。笑
 

 
【解説】allcinemaより
芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを「涙そうそう」の妻夫木聡と「博士の愛した数式」の深津絵里主演で映画化したヒューマン・ミステリー・ドラマ。長崎の漁村で孤独な人生を送り、ふとしたことから殺人者となってしまった不器用な青年と、そんな男と孤独の中で出会い許されぬ愛に溺れた女が繰り広げる出口のない逃避行の顛末を、事件によって運命を狂わされた被害者、加害者それぞれを取り巻く人々の人間模様とともに綴る。共演は満島ひかり岡田将生樹木希林柄本明。監督は「フラガール」の李相日。
 長崎のさびれた漁村に生まれ、自分勝手な母に代わり、引き取られた祖父母に育てられた青年、清水祐一。現在は、土木作業員として働き、年老いた祖父母を面倒見るだけの孤独な日々を送っていた。そんなある日、出会い系サイトで知り合った福岡の保険外交員・石橋佳乃を殺害してしまった祐一。ところが、捜査線上に浮上してきたのは福岡の裕福なイケメン大学生・増尾圭吾だった。苦悩と恐怖を押し隠し、いつもと変わらぬ生活を送る祐一のもとに、一通のメールが届く。それは、かつて出会い系サイトを通じてメールのやり取りをしたことのある佐賀の女性・馬込光代からのものだった。紳士服量販店に勤め、アパートで妹と2人暮らしの彼女もまた、孤独に押しつぶされそうな毎日を送っていた。そして、話し相手を求めて祐一に久々のメールを送った光代。やがて、初めて直接会うことを約束した2人だったが…。