金環蝕(1975)


 
 
1965年に表面化した九頭竜ダム入札事件に基づいたフィクション。
池田勇人佐藤栄作、黒金泰美、鹿島建設に青山組という
実在した人物や企業がモデルになっているということです。
 
外側は輝いているけれど、内側は真っ黒で腐っている・・
そんな腹黒さを金環蝕にたとえたのがタイトルの由来。
 
大筋は教養もなく前科者である闇金のトップの宇野重吉さんと
エリート政治家の仲代達也さんとの対決。
 
ほかにもさすが一流の役者さん揃いで。
目つきも、喋り方も、笑い方も巧すぎます。
誰もがイメージする汚職政治家、そのものにしか見えません。笑
 
金融界のドン、石原のところに星野官房長官の秘書が
2億という大金の融資の相談に来ます。
石原は裏を探り出そうとし、福竜川のダムに関する事だと知ります。
副総裁と官房長官は現電力会社総裁のバックの青山組ではなく
竹田建設にダム建設の入札を通させ、金を手にしようと画策していたのです。
そして党の腐敗を公にしようとひとりの記者が立ち上がります。
 
誰もが真っ黒、右から左に巨額のお金が動きます。
金と権力と女、そのためには良いも悪いもモラルもない。
虫唾が走るとはこのこと・・・
 
実際に関係者が謎の死を遂げてもいるのですね。
ダムは1968年に完成したそうです。
 
事件から50年・・・
 
大きなビルが立ち並び、道路は整備され
海外旅行にも簡単に行けます。
小学生でもスマフォを使いこなし
インターネットだってあたりまえ。
 
時代はこんなに大きく進歩したのに
政治の世界だけはなぜか
あまり変わっていないような気がします。
 
それどころか「号泣県議」のように
物凄いヤツまで出てくる始末で。苦笑
 
もうすぐ衆議院選挙。
できるだけ国の借金を返していったほうがいいと思うのは
私だけなのでしょうか?
もし、そういう公約をしている立候補者がもしいたのなら
投票したいと思います。
 
現実的には、そのような政治家がいて仮に当選したとしても
ひとりの力で国を変えるのは無理なのでしょうけれど。
 

 
【解説】allcinemaより
ダム建設をめぐる政界の黒い霧と、総裁の座を争う血みどろの戦いを繰り広げる政治家たちを描いた政界内幕ドラマ。石川達三の同名小説を、山本薩夫監督が豪華キャストで映画化したパワー溢れる大作。昭和39年5月12日、第14回民政党大会で、現総裁の寺田政臣は、同党最大派閥の酒井和明を破り、総裁に就任した。選挙での多数派工作に要した資金は両候補とも10億円をはるかに越えた。早速、寺田陣営は資金の補填に奔走、やがて、ダム工事の入札に絡む工作を請負い5億円を捻出する……。