エノケンのちゃっきり金太(1937)


 
 
 
ちゃっきりとはスリのこと。
 
幕末の江戸。
天才スリの金太(エノケン)と岡っ引きの倉吉(中村是好
飴屋を装っている徳川方のスパイの三次(二村定一)。
金太が贔屓にしている居酒屋の亭主(柳田貞一)とその娘・おツウ(市川圭子)。
金太を殺そうとする薩摩藩士の小原葉太郎(如月寛多)・・
東海道珍道中のお話しです。
 
「さぁ~、お江戸は将軍さまのおひざ元~♪」と
歌声の飛び交う和風ミュージカル。
このエノケンの爽やかな声が、実に素晴らしいのです。
(しかも結構美男で)
 
追う岡っ引きと、追われる金太なのですが、その奇妙な共同生活と友情も面白い。
ドタバタなのですが、実に癒されるのです。
それは、お互いのやさしい人柄によるものに間違いありません。
 
そして時は流れて明治二十年。
相変わらず金太はスリで、倉吉は巡査になったものの金太を追っています。
腐れ縁としか言いようがありませんね。
 
古い作品で、(フィルムが残っていないのでしょうか)
内容がとぎれとぎれなのが残念でしたが
貧しく食べものも豊富でない時代であっても、
明るく楽しく生きる知恵が昔の人にはあったのだな・・と
日本人の粋さに、実に感心させられる作品でありました。
 

【あらすじ】NHKオンラインより
名コンビとして知られるエノケンこと榎本健一山本嘉次郎監督によるドタバタ喜劇の代表作。ジョンストン・マッカレーの「地下鉄サム」の物語をもとに、ドジなスリ金太と八丁堀の岡っ引き倉吉の東海道追いつ追われつの騒動を描く。財布と一緒に勤皇派の密書をすってしまった金太は、薩摩の侍から追われるはめになり、江戸を逃れて西へと旅立つ。