十三人の刺客(1963)





「これで良いのだ、これで貴公の面目も立つだろう」


フィルムセンターにて鑑賞。

劇場で時代劇を鑑賞したのって初めてですけれど
迫力がなかなかあっていいですね。
古い映画で白黒でしたけれど渋さがありました。

三池崇史監督によるリメイク版よりも
個人的にはこちらのオリジナル版のほうが好みですね。
もたもたしていますが、人間らしいリアル感があります。

将軍の弟で明石藩主、暗君の松平斉韶の悪政を訴えるため
そして家老の家族を、女子どもまでまで虐殺する斉韶。
老中土井大炊頭は、島田新左衛門に参勤交代で帰藩する斉韶の暗殺を命じます。
それを察知する斉韶の腹心、鬼頭半兵衛。

なんといっても島田(片岡知恵蔵)と鬼頭(内田良平)がかっこいい。
二人の駆け引きが堪らないですね。
強くて知的で大人の男、死にざままで潔い。

息子と嫁を死に追いやられた
尾張藩の老侍牧野靭負を演じる月形龍之介もいいですね。
大義のために命を懸けることができる、そんな雰囲気充分。

バカ殿が本当に救いようのない悪人なので感情移入もしやすい。
誰もが刺客たちを応援してしまいます。

バカ殿を演じた菅貫太郎さんはあまりにもハマり過ぎたのか
この作品のあとはこんな役しかこなくなったそうで。笑

小さな宿場を砦にしたセットも素晴らしいですね。
繰り広げられる13人対53人の乱闘。

しかし、いくら修行を重ねた武士といえ侍といえ
現実に人間を殺したことのある者はわずかなのでしょう。
ねくらめっぽうに刀で突き
矢を放ち
逃げまどいます。

泥田に身を投げ哄笑する、だだひとり生き残った明石藩士。
残ったのは狂気だけでした。

とにかく主演陣の豪華さは
今のアイドルとはひと味もふた味も違う
渋くてカッコよさがあって見る価値あり。

ストリー構成といい人物描写といい
のちの時代劇に大きな影響を与えたのに
間違いない1本なのでしょう。



【あらすじ】みんなのシネマレビューより
将軍の弟である明石藩主は私欲に走り、藩政をないがしろにする暴君だった。明石藩の家老は公儀による処分を求め切腹。しかし将軍は弟への処分を下さなかった。予定されている藩主の老中就任を阻止するため、幕府は目付に明石藩主の暗殺を命ずる。そして、十三人の刺客たちが集められていき・・・。 東映が豪華キャストを配して製作した集団抗争時代劇の傑作。