青い鳥(2008)


 
 
「本気で話すことは、本気で聞かなければいけない。」

教育委員会からやって来た、どもってうまく話せない吃音(きつおん)の
村内先生。
 
公立の小中学校では、先生や生徒になにかしら大きな問題があったときに
やってきますよね。
教育委員会から先生が。笑
 
職場での教師の願いは、とにかく「問題が起きないこと」だと思います。
教師の不祥事、子どもたちの事故やいじめ、保護者とのトラブル・・
自分はそんなことに巻き込まれず、とにかく事なきを得たい。
私は教師ではありませんが、私もそんな人間のひとりです。
他人の面倒なことに、係わり合いなど持ちたくない・・・
 
村内先生は、いじめにより自殺未遂し転校していった男子生徒の机を教室に
置きます。
そして毎朝その机に向かい「おはよう」と語り掛けるのです。
マスコミに騒がれ、生徒も先生も保護者もみんなが忘れ去りたかった事件にも
かかわらず。
 
こんなことは、ヒラの教師が決してできることではありませんよね。
教育委員会から来た人間。
だからいくら、村内のやることに反対でも頭にきても、校長も教頭も我慢して
強く言えないのです。
 
明るくいつも笑顔のその少年に
クラスのみんなはいじめているという自覚はありませんでした。
本人もいじめられているとは思っていなかったのかもしれません。
だた皆と仲良くしてたかった・・仲間でいたかった、嫌われたくなかった。
やさしい気持ちが、罪悪感が、きっと少年を追い詰めたのです。
 
いじめられた人間は忘れない。
いじめた人間だけが忘れてもいいのか・・
 
「大切なことしか・・言わない」
 
この作品、ひとつも説教くさいところがないのがいいですね。
生徒達もいい。
決して荒れているわけでも、ふざけているわけでもないピュアな中学生。
どこにでもある普通のクラスで、どこでも起こりうる出来事。
 
重松清さんのお話って、ホント「涙で文字が読めません」の涙腺攻撃型ですよね。
原作もぜひ読んでいただきたい素晴らしい物語だと思います。
 

 
【あらすじ】allcinemaより
重松清の同名短編を阿部寛主演で映画化したヒューマン・ドラマ。いじめ問題が深刻化した中学校に現われた吃音の臨時教師・村内先生が、心に傷を負った生徒たちと真正面からぶつかり合う姿を描く。共演は「テニスの王子様」「シルク」の本郷奏多。監督はこれがデビューの中西健二
 新学期、東ヶ丘中学2年1組には休職した担任に代わり、臨時教師の村内先生が着任した。前の学期、男子生徒の野口がいじめが原因で自殺未遂へと追い込まれ、転校を余儀なくされていた。マスコミにも騒がれ、学校側は生徒指導の強化などにより、生徒たちの反省と改心が進んだとして事態の沈静化を図っていた。そんなクラスにやって来た村内先生は、極度の吃音だったが、着任早々言葉少なに発せられたひと言は“忘れるなんて、ひきょうだな”という意外なもの。そして、日直に命じて転校した野口の机を教室に戻させ、その机に向かって“野口君、おはよう”と語りかけるのだった。だれもが野口のことを忘れようとする中、村内先生の挑発的ともとれる行動は、生徒ばかりか教師や保護者たちにも大きな波紋を投げかける。