火喰鳥を、喰う(2025)

原作は第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞を受賞した

原浩(ハラコウ)の同名小説

確かに序盤は横溝正史っぽいのですが(笑)

後半はミステリ&ホラーというより

まさかの「マルチバース」(多元宇宙)的な(笑)

マルチバースものといえば

スパイダーマン:スパイダーバース」シリーズ

パラレルワールド」(並行世界)や

(自分の人生においての”If”の世界)

 

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(通称:エブエブ)

「バース・ジャンプ」(並行宇宙(バース)跳躍

(異次元を含む別の宇宙に移動する)がありますが

どちらも「もしあの時、別の選択をしていたら?」という

別の歴史を歩む世界に、何かのアイテムやきっかけによって

移動するというもの

 

本作では約70年前パプアニューギニアで戦死した叔父の

日記が見つかったことがきっかけとなり

叔父が生きていた、という歴史に変わってしまいます

この(間違った)執念が世の中を変えるとか

自分が生き延びるためには、誰かが犠牲になってもかまわないという

思想には私的にはイマイチ乗れませんでしたが

 

このこじつけだらけの内容にストーカーな霊能者を演じた

宮舘涼太こと舘様(だてさま)の胡散臭さはぴったりでした(笑)

普通ならストーカー男が最後に消されそうなものですが

まさかの元カノの執着心のほうが勝つという意外性もありました

ただしこれは「Snow Manだからこそ成り立つことを

世の男性は肝に銘じておくべきです

信州で暮らす大学助教授の久喜雄司(水上恒司)の実家の墓で

大伯父の貞市(小野塚勇人)の名前が削られてしまうという事件がおきます

もしかしたら貞市の日記が見つかったのと関係しているのかと家族が疑っていると

草原に白いワンピース姿の少女を見つける雄司

次の瞬間少女は消えていました

雄司と妻の夕里子(山下美月)は高校の天文学部の後輩先輩で仲睦まじい夫婦

墓荒らしの犯人を探すため、久喜家では地元紙「信州タイムス」の

記者の与沢一香(森田望智)と玄田誠(カトウシンスケ)を自宅に呼び

オカルトに興味ある夕里子の弟で大学生の瀧田亮(豊田裕大)もやってきて

日記(従軍手帳)を見つけた詳しい経緯を聞くことにします

祖父の保(吉澤健)が日記を読み上げると

パプアニューギニアではマラリアと飢餓によって仲間が次々と死んいき

最後に残った貞市と藤村と伊藤の3人はジャングルの中で餓死状態寸前

その時「火喰鳥」の鳴き声を聞きます

生き延びるためには「火喰鳥」を捕まえて喰うしかない

ヒクイドリヲクイタイ」

しかし日記は六月九日 日付を最後に途切れていました

気がつくと夕里子の弟の亮が日記の月九日のページに

ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」と書いていました

夕里子は慌てて亮から日記を奪い、亮が書いた文字を消しゴムで消しますが

突然記者の玄田が「久喜貞市は生きている」と叫びます

それからというもの雄司と夕里子は悪夢にうなされるようになり

玄田は原因不明の体調不良で入院

(狂乱したのち、久喜家にやって来て自害)

与沢も車の運転中、謎の不審火に巻き込まれ死亡

亮は高熱が続いていました

真相を探ろうと会いに行った貞市の戦友の伊藤は戦死しており

(生還したはずの伊藤が現地で戦死したという歴史に変わっている)

寝たきりで、娘に介護してもらっている藤村は

突然「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」と叫びます

(火喰鳥を喰べたおかげで貞市は生きていると訴える)

間もなくして藤村の家が火事になり藤村が意識不明の重体なったことが伝えられ

さらに祖父の保がトラックで出かけたまま行方不明になってしまいます

そこで夕里子が頼ったのが大学時代の元彼で

超常現象専門家北斗宮舘涼太)でした

(北斗曰く、夕里子も自分と同じ能力を持っているらしい)

亮は、全ては姉さんを手に入れるため

北斗が仕掛けた罠かも知れないと雄司に伝えます

(後に亮も現在に存在していなかったことになる)

貞市の従軍手帳を見た北斗は、これは「籠(こも)り」だと語ります

飢餓と狂気に満ちたパプアニューギニアの戦地で

火喰鳥を食べたなら生き延びられるという

貞市の執念が閉じ込められ(籠り)

日記が開かれたことで、その「籠り」が現代へと漏れ出してしまい

戦友の死や祖父の保が行方不明になったのは

現実の世界が過去の異界(籠り)に飲み込まれ

消滅していくプロセスだと説明します

「籠り」を解き、現実への侵食を食い止めるためには

現実の書き換え(上書き)をしなくてはいけない

いつの間にか削られたはずの墓が修復され

貞市の名前の変わりに保の名前が彫られていた墓の前で

貞市の日記に「久喜貞市は死んだ」と書かせる北斗

(あまり効果はなかった 笑)

さらに北斗は儀式だと、夕里子を生贄にし(蒸し焼きにして食べた?)

貞市の直系である雄司に戦地での貞市の体験を再体験(追体験)させます

そこで貞市が食べたのは火喰鳥ではなく

弱った貞市を戦地に置き去りにしようとした伊藤のことだったのです

 

伊藤に置き去りにされ戦死→今の雄司と夕里子が結婚した世界

伊藤を食べて貞市が生き延びた→雄司と夕里子が出会わない世界

現代に戻った雄司は夕里子を取り戻すため、貞市を殺しに行きます

雄司が見た貞市の顔は「火喰鳥」そのものでした

気性が荒く、強力な蹴りで相手を殺すこともできるという「地上で最も危険な鳥」

貞市は「火喰鳥」侵食されていたのです

つまり人間であることを捨ても生きることを選んだということ

雄司の口の中に指を突き立て「何か」を流し込む

(あるいは引きずり出す)貞市

疲れ果てた雄司が自宅に戻ると、母親が家に入れてくれません
「雄司だよ」と言うと

雄二は父親と祖父と一緒に交通事故で死んだと告げられます

 

一方貞市が生きている世界では白いワンピースの女の子、千弥子が存在しています

千弥子貞市の孫で、現在は四十歳くらいで妊娠中

彼女もまた雄司と同じように悪夢に苦しんでいて

(北斗によって)雄司が存在する世界では自分が生まれていないこと知り

お腹の子を守りたい一心で北斗に全面協力していたのです

すべて北斗の思惑通り

偶然貞市の「籠り」の日記を見つけた北斗は、それを久喜家に送りつければ

夕里子が自分のところに相談に来るだろうと確信していたのです

そうして貞市の戦死した世界では

従軍手帳を取材した新聞記者も、戦友の藤村と伊藤も

夕里子も夕里子の弟の亮も死に

雄司は父親と祖父の保とともに交通事故死していたことになり

(何も見ざる聞かざる知らない派の母親だけ死ぬことはない)

貞市の生き延びた世界では、千弥子のところに北斗が訪ねてきて

これから新婚旅行に行くので寄ったのだと妻の夕里子を紹介

雄司は(かっての世界で夕里子と恋に落ちた)天文台の職員(観測員)で

同僚とも楽しく仕事しています

・・でも何かが違う

そのとき天文台の観測ドームの入り口で雄司が夕里子がすれ違い

お互い何かを感じたふたりは振り向き、見つめあいます

その距離は、はたして縮むことはできるのでしょうか

(まさかの「君の名は。」かよ 笑)

 

 

【解説】映画.COMより

第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞を受賞した原浩の同名小説を映画化したミステリーサスペンス。「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」「九龍ジェネリックロマンス」の水上恒司が映画単独初主演を務め、「六人の嘘つきな大学生」「山田くんとLv999の恋をする」などで活躍する山下美月、人気アイドルグループ「Snow Man」の宮舘涼太が共演。「超高速!参勤交代」「シャイロックの子供たち」など幅広いジャンルの作品を手がける本木克英監督がメガホンを取った。
信州のとある村に暮らす久喜雄司と夕里子の夫婦のもとに、謎めいた日記が届く。それは雄司の祖父の兄で、太平洋戦争末期に戦死したとされる久喜貞市の遺品だった。日記には異様なほどの生への執着が記され、最後のページには「ヒクイドリ、クイタイ」という文字がつづられていた。その日を境に、墓石の損壊や祖父の失踪など、雄司と夕里子のまわりで不可解な出来事が起こり始める。2人は夕里子の大学時代の先輩で、怪異現象に造詣が深い北斗総一郎に、不可解な現象の解明を依頼する。しかし、存在しないはずの過去が現実を侵食していき、彼らはやがて驚愕の真相にたどり着くが……。
主人公の雄司役を水上、雄司の妻・夕里子役を山下が務め、彼らとともに怪異に対峙することになる、どこか怪しく危険な空気をまとわせた男・北斗を宮舘が演じる。そのほかの共演に森田望智、吉澤健、豊田裕大、麻生祐未。脚本は「ラーゲリより愛を込めて」「ディア・ファミリー」などの林民夫が手がけた。

2025年製作/108分/G/日本
配給:KADOKAWA、ギャガ