菊豆(1990)

原題は菊豆(チュイトウ)」(ヒロインの名前)

原作は劉恒(リウ・ホン)の「伏羲伏羲」(ふっき、ふぎ)

(中国神話に登場する伝説上の神または帝王のこと)

日本では徳間文庫から翻訳本が出版され

徳間書店初代社長の)徳間康快が製作総指揮に加わった日中合作映画

染物屋を営む50歳過ぎの男に売られて嫁いできた若い妻が

夫からの暴力に耐えかね(当時は夫が妻を殺しても無罪になった)

夫の養子と不倫関係になると男の子を授り

成長した息子は父親と不倫相手(実の父親)を殺してしまうというもの

筋立てがいまいちなってなく

何が言いたいのかよくわからなかったのですが(笑)

(イーモウが恋人でもあったコン・リーに色々やらせたかっただけなんだろうな)

イーモウ作品の見どころといえば、やはり画面の圧倒的な力強さ

特に息子役が不気味で、喋らない笑わない少年が

声をあげて笑うシーンには背筋が凍ります

63アカデミー賞外国語映画賞ノミネート

43カンヌ国際映画祭ではルイス・ブニュエル賞受賞

一方、中国では政府の検閲に触れ上映禁止になったそうです(1992年に解禁)

1920年、中国

染物屋を営む楊金山(ヤン・チンシャン)(リー・ウェイ)は

菊豆(チュイトウ)(コン・リー)という若い娘を金で買い

妻にして跡継ぎ(男子)を産ませようとしていました

金山は前のふたりの妻をいたぶり殺していて

菊豆にも毎晩子を授かるようにと折檻していました

(だれか子どもの作り方教えてやれよ)

おかげで菊豆の喘ぎ声を毎晩聞かされることになる

天青(ティエンチン)(リー・パオティエン)

彼は金山の養子でしたが、実際は住み込みの使用人のようなもの

天青は納屋の壁に開けた穴から菊豆の水浴びを覗くようになり

そのことに気付いた菊豆はいったんは覗き穴を塞ぐものの

思い直して天青にアザだらけの裸を見せます

金山が家を留守にすると、菊豆は天青に近づき

金山には子を作る能力がないのだと訴え

天青に身体を委ねるようになります

菊豆は妊娠し、待望の男の子

天白(ティエンパイ)が産まれ金山は大喜び

しかし菊豆は天白が天青の子と確信していました

その後も金山が不在のたび、セックスする菊豆と天青

さらに金山が脳卒中で倒れてしまい、下半身不随になると

金山と天白を残し夜な夜な天青の寝床に向かう菊豆

しかも「使えないくせに!くやしいか!」と

天白が天青の子であることまで打ち明けます

天白を殺そうと企てる金山

その天白が初めて発した言葉が「お父ちゃん」

金山の父性が目覚めてしまいます(笑)

天白は金山に懐き、金山も天白を可愛がる

菊豆は天青との間に二人目の子を妊娠しますが

(金山は下半身不随で子を作れない)もし不倫がバレたら死刑

中絶するために子宮に唐辛子や酢を挿入します

それは意識を失うほどの痛みを伴い、膣部はボロボロ

二度と出産できない身体になってしまいます

そんな無理をしても、ふたりの性欲が収まることはありませんでした

天白が金山の車いす(桶)をロープで引いていると

ロープがひっかかり金山が染物の池に落ちてしまいます

溺れる金山を見て大笑いする天白

金山が死に喪主は天白
伝統に伴い(血の繋がらない)菊豆と天青は

葬列の前に50回立ちはだかり行手を遮らねばなりませんでした

(出来なければ家主の裏切りものとみなされる)

楊家の掟によって菊豆は長老たちに再婚できないことを言い渡され

天青は屋敷を追い出されます

天白は染物屋の跡取りとして成長しますが(16歳くらい?)

菊豆と天青は未だ人目のつかないような場所を選び愛し合っていました

そんな菊豆の姿は村人たちの噂になってしまいます

天白は母のことを笑いものにする村人も(中華包丁を持って追いかける)

そうさせた天青のことも許すことはできませんでした

天青を染物の池に突き落とする天白

菊豆は天青が「実のお父さんよ」と叫びますが

天白は天青を木の棒で殴り溺れさせます

天青の上に落ちる長い長い紅い布

ショックで錯乱した菊豆は工房に火をつけると

炎の中で呆然と立ち尽くし
天白はその後どうなったのかはわかりません

 

天白は彼なりにお母さんを守ろうとしただけなんですね

ただ天白の持つ残酷性を思うと

本当のお父さんは金山のほうだったのかも知れません

 

【解説】映画.COMより

監督デビュー作「紅いコーリャン」でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、一躍注目を集めたチャン・イーモウが、「紅いコーリャン」同様に中国の農村を舞台に、ひとりの女性のたどる運命や愛、情念を色彩豊かに描いたメロドラマ。1920年代の中国。染物屋の楊金山(ヤン・チンシャン)に金で買われて嫁いできた菊豆(チュイトウ)は、子どもが作れない金山が鬱憤を晴らすように虐待して死んだ前妻2人同様に、毎日のように彼から折檻を受けていた。金山の甥であり同居している楊天青(ヤン・ティエンチン)はそんな菊豆に同情し、彼女に思いを寄せる。それを知った菊豆は、やがて彼と不倫関係に落ちる。天青の子を身ごもった菊豆は、生まれた息子に天白(ティエンパイ)と名付け、金山の子として育てていく。そしてある時、脳卒中で倒れて身体が不自由になった金山に、菊豆は復讐するかのように、天白が金山の子でないことを打ち明ける。中合作で、製作総指揮に徳間康快。主人公・菊豆役は「紅いコーリャン」のコン・リー。第43カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。第63アカデミー外国語映画賞ノミネート。202412月、「張芸諜 チャン・イーモウ 艶やかなる紅の世界」と題した特集上映にて、HDレストア版でリバイバル公開。

1990年製作/94分/中国・日本合作
原題または英題:菊豆 Ju Dou
配給:AMGエンタテインメント