
「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
原作は高見広春の同名小説で
深作欣二が完全監督を務めた最後の映画
公開当時は国会で挙げられるほどの問題作だったそうです

プロットはある中学3年のクラスが
最後の生存者だけが家に帰ることができるというルールのもと
無人島でお互いを殺し合うことを余儀なくされる「殺人ゲーム」もの
今見れば単純なストーリーと
(今では大物たちの)ヘタクソな演技ではあるものの(笑)
そのシンプルさが強みになっています

ジュゼッペ・ヴェルディの「レクイエム」(怒りの日)で始まり
BR優勝者だという不気味な笑みを浮かべる少女の画からの
オープニングタイトルがグッとくる
その後数々の作品に多大な影響を与え、カルト的人気があることも頷けます

新世紀はじめひとつの国(パラレルワールドの日本)
少年犯罪は増加の一途をたどり、学級崩壊に家庭崩壊に不登校
ついには校内暴力による教師の殉職者は1,200人を突破

そこで政府は「新世紀教育改革法」通称「BR法/バトル・ロワイアル」を発令
それは監禁・殺人という恐怖によって子どもたちを支配し
大人の威厳を取り戻そうというもの
年に一度、全国の中学3年生のクラスから募集し
選ばれた1クラスは脱出不可能な無人島で制限時間3日の間に
最後の一人になるまで殺し合いをしなければなりません
そこで選ばれたのが香川県城岩学園中学3年B組
「人生はゲームです、価値のある大人になりましょう」

中学生になった七原秋也(藤原竜也)は母が家出
中学入学の日に「秋也ガンバレ!」と何度も書かれたトイレットペーパーを残し
首吊りした父親の姿がトラウマになっていました
「ガンバレ!」って言葉はある意味、無責任で残酷ですよね

1年B組のとき秋也の親友でクラスメイトの国信義時こと通称ノブが
担任のキタノ(北野武)をナイフで刺し
その場に居合わせたクラスメイトの中川典子(前田亜季)が
思わずナイフを抜き隠してしまいます
その後キタノは休職、ノブは不登校になります

やがてB組は3年生になり修学旅行に向かいます
典子は片思いの秋也に手作りクッキーを渡そうとしますが
(修学旅行には参加した)ノブは典子のことが好きなんですね
自分へのプレゼントだと勘違いして大はしゃぎ

そこに(催眠)ガスが充満し、気がつけば全員見知らぬ無人島の廃校の中で
キタノと自衛隊員たちに取り囲まれ、BR法を知ってるかと
(宮村優子による)解説ビデオを見せられることになります

最初に私語をしている女生徒がキタノにナイフを命中させられ死亡
次にキタノを襲おうとしたノブの首輪が爆破し
BR法が冗談じゃないことにやっと気がつく生徒たち
ノブの死を目の当たりにした秋也は、ノブのため典子を守ろうと誓います

1971年にスタンフォード大学で実際に行われた
「なぜ(ナチスによる)ジェノサイドは行われたのか?」という実験をモデルにした
「es[エス]」(2001)というドイツ映画があるのですが

これもただ単純に、新聞広告によって集められた被験者を
無作為に囚人役と看守役という2つのグループに分け
刑務所を再現した場所で2週間生活させるだけ、というもの
ところが1日目から看守役から囚人役への暴力がはじまり
4日目には精神が錯乱する者が現れ
5日目には暴動が起こり、2人が死亡し3人が重傷を負い
わずか5日間で実験は中止になったという現実

3年B組の生徒たちもランダムに選ばれた武器が入った袋を手渡され
解散させられたとたん、すぐに殺し合いが始まってしまいます
あるいは、崖から飛び降りて自殺してしまう男女
あるいは、「こんなのやめようよ!」とメガホンで語りかける女子たち
(そのため居場所を知られ殺されてしまう)

あるいは、「きっとこれ冗談だよ」と隠れて現実逃避するグループ
(やがて誰かが裏切り者だと疑心暗鬼になり殺し合いが始まる)
あるいは、自衛隊のコンピューターシステムをハッキングし
さらに自家製爆弾まで作り脱出しようとする男子たち(結局失敗)

そのリーダー格の三村(塚本高史)が持ち込んだ「腹腹時計」とは
(「ハラハラドキドキする」と朝鮮語の「하라체(ハラ体)」両方の意味)
日本の極左グループである東アジア反日武装戦線「狼班」が
爆弾の製造法やゲリラ戦法などを記し1974年に地下出版したもので
武器マニアにとってはファンタジー的教本
(三村グループがどうやって爆弾の原料やトラックを見つけたかは不明 笑)

ある生徒は、ただ殺人を楽しむためだけに参加した謎の転校生(安藤政信)
ある生徒は、好きだった女の子に告白しようとして、その娘に銃で撃たれてしまう
栗山千明の「私の全存在をかけてアンタを否定してあげる」は名言(笑)
ある生徒は、男子に身体を許して油断させ返り討ちする
この不良少女、光子(柴咲コウ)のキャラが一番強烈ですね

秋也と典子を何かと助けてくれるのが
かってBRで生き残ったという川田(山本太郎)
「医者」「コック」「漁師の息子やねん」といちいち変わる生い立ちがいい(笑)

最終日、川田は首輪の内蔵マイクを利用して
秋也と典子を殺したように見せかけます
キタノは任務終了と自衛隊を解散させ(なぜか幕僚長くらい権力がある 笑)
最後の生存者だと思われた川田と基地に戻り
秋也と典子は制御室に侵入
そこでキタノに見つかった典子はキタノの描いた絵を見せられます
それは典子がBR最後の勝者になるものでした

家庭では娘に拒絶され、学校では生徒たちに馬鹿にされる
でも典子だけはキタノに敵意を向けなかった、無視しなかった
キタノにとっては先生と生徒を超えた大切な存在、報われない愛
典子に「殺してくれ」と頼むキタノ
秋也に脅され撃たれたキタノは
娘に最後の電話するとそのまま死んでしまいます

川田、秋也、典子の3人はボートで無人島を脱出
そこで傷を負った川田は死んでしまい
その後、秋也と典子は日本政府により逃亡者として指名手配
典子はノブがキタノを刺したナイフを秋也に渡し
ふたりは夜の渋谷駅に向って消えていきます

エピローグ、秋也はノブの夢を見て彼から「全てうまくいく」と告げられます
典子はキタノにアイスを買ってもらったときのことを思い出します
ノブのナイフを持っていることを教えると、キタノは哀しそうに
「この瞬間、大人は子どもに何と言えばいいのか?」と答えたのでした
【解説】映画.COMより
中学生が殺し合うというセンセーショナルな内容で物議をかもし、社会現象を巻き起こした高見広春の同名小説を、「仁義なき戦い」の巨匠・深作欣二が映画化した青春バイオレンスアクション。新世紀のはじめ、ひとつの国が崩壊した。子どもたちを恐れた大人たちは、新世紀教育改革法・通称「BR法」を施行。年に1度、全国の中学校から無作為に選ばれた1クラスが、無人島で最後の1人になるまで殺し合いをさせられるのだ。修学旅行の名目で無人島へ連れて行かれた城岩中学校3年B組の生徒たちは、かつての担任キタノによる容赦ない指導の下、この恐ろしいゲームに強制参加させられることになり……。北野武が教師キタノを圧倒的な存在感で演じた。
2000年製作/113分/R15+/日本
原題または英題:Battle Royale
配給:東映