
原題は「Zazie dans le métro」
原作はレーモン・クノーによる1959年発表の同名小説
「死刑台のエレベーター」「恋人たち」に続く
ルイ・マル監督(27歳の時)の3作目で
写真家ウィリアム・クラインを共同監督として招いたもの

しかし当初(映画に係わったことのない)クラインのアイディアは
スタッフからそっぽを向かれたそうです
それでもクラインは繰り返しの映像や対話が面白いと提案したり
望遠レンズと広角レンズの2つのレンズを使用するよう説得
最終的にはハンドヘルドカメラでいくつかのシーンを撮影するようにまでなり
映画が完成したときには(監督ではなく)
アーティスティックアドバイザー(ビジュアル上の責任者)としてクレジット

ストーリーそのものは10歳の少女ザジが
パリに住むガブリエルおじさんに2日間預けられ
パリの地下鉄に乗るためおじさんの家を抜け出し
ストライキ中で混乱するパリの街を冒険するものですが

話に脈絡はなく、女の子の言葉遣いも悪い
(ルイ・マル曰く「可愛い子でなくわざとうるさそうな子を選んだ」)
「ケツ食らえ」という字幕の連発が不自然で(「クソくらえ」は放送禁止用語?)
「ケツでもくらえ」のほうがまだマシだった気がします
しかも戦争に変態に不倫・・と毒だらけ
内容的にも面白いかと言ったら、そうでもありません(笑)

だけどまるで動く絵本、おもちゃ箱のような映像で
クラインのシュールレアリスム(衝撃的、不合理)的映像も
結果的には成功を収め映画は大ヒット
ウェス・アンダーソンなどにも影響を与えます
(黒澤明が選んだ映画100本にも入っている)
そのまんまですよね(笑)

「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレード役や
「イル・ポスティーノ」の名優フィリップ・ノワレ(当時30歳)が
ガブリエル伯父さんを演じているという見どころもあります
(私たちの知ってるフィリップ・ノワレと全く違うイメージ 笑)

リヨン駅に到着したガブリエルは
周りにいる人々を「臭い臭い」とけなしています
列車が到着すると(妹?の)ジャンヌは2日間恋人と過ごすため
さっさと娘のザジをガブリエルに預け去ってしまいます

ガブリエルは、ザジに友人のチャールズのタクシーに乗ろうと言いますが
ザジは地下鉄に乗るためにパリに来たんだと逃げてしまいます
ところがパリはストライキ中で地下鉄の入り口も閉鎖されていました

ガブリエルのアパートはトゥーランドット(大家の名前)という
カフェの2階にあり
カフェで働いているマドとチャールズは恋人同志で
ガブリエルにはアルベルティーヌ(カルラ・マルリエ)という美しい妻がいて
(BBにそっくりでびっくり 笑)
夜はナイトクラブで女装ダンサーとして働いていました

その夜ザジはアパートを抜け出しパリの町をうろついていると
小さな女の子が(男の子も)好きだという
ペドロという怪しげな男(ヴィットリオ・カプリオーリ)から
洋服を買ってあげるなど甘言で誘れます

アメリカ軍の払い下げ品を売る店で、ジーンズを買ってもらうザジ
(アメリカ軍に子どもはいるのかね、というセリフが怖い)
ザジはペドロが変質者だとまわりの大人に耳打ちすると
ジーンズを持って逃げ
ペドロは警察官のトルスカイヨン巡査に変装してザジを追いかけると
そこでガブリエルの妻アルベルティーヌに一目惚れ

ザジが黒猫に変わっているとか、マネキンのなかのひとりとか、なぜか白熊(笑)
(ストップモーション・アニメにような)コマ送りの撮影
どれも意味不明だけど、可愛くて洒落ている

翌日、ガブリエルとチャールズはザジをエッフェル塔に案内します
そこでガブリエルはドイツ人娘の観光客4人組に誘拐され
ザジとチャールズは階段でエッフェル塔を降りると
ガブリエルの乗る観光バスを追いかけることにします

さらにトルスカイヨン巡査と彼に恋したマダム・ムアケも一緒に追いかける
しかし道路は大渋滞
トルスカイヨン巡査が笛で交通整理をしながら
マダム・ムアケがコンバーチブルを運転し

やがて観光バスが追突て停まると、ガブリエルはやっとドイツ娘から介抱
その夜コンサートがある(同性愛者向け)クラブに向かいます
大人たちをおちょくり、かき回していたザジは
車のボンネットに顔を伏して寝てしまいます
まるで全てが夢であるかのように

ガブリエルがアルベルティーヌに衣装を届けて欲しいと電話すると
電話に出たマドはチャールズにプロポーズされたことを告白
ペドロはトルスカイヨン巡査から、今度はアローン・ピーナッツという男に変身し
(ガブリエルに頼まれた衣装を持って)バイクで逃げるアルベルティーヌ

ドタバタは終わり、ザジを連れてレストランにオニオンスープを食べに行く
ガブリエルとアルベルティーヌ
その頃ストライキが終わり、アルベルティーヌはザジと地下鉄に乗りますが
アルベルティーヌの腕の中で眠ってしまったザジには記憶がありません

翌日(恋人と破局し)ザジを迎えに来た母親に
「パリで何をしたの」か尋ねられたザジは
「歳をとったわ」と答えたのでした
なんか最後のセリフって「死刑台のエレベーター」の
ジャンヌ・モローとかぶってないかい?(笑)

とにもかくにも、見たままだけを楽しむ映画でした
【解説】映画.COMより
レイモン・クノーのベスト・セラー小説の映画化。「恋人たち」のルイ・マルが監督した喜劇で、脚色にマルとジャン・ポール・ラプノーの共同で、撮影はアンリ・レイシ、音楽をフィオレンツォ・カルピが担当。出演は主役の少女ザジに三百人の応募者から選ばれたカトリーヌ・ドモンジョ、ほかにフィリップ・ノワレ、ユベール・デシャン、アントワーヌ・ロブロ、アニー・フラテリニら。製作イレーネ・ルリシュ。
1960年製作/93分/フランス
原題または英題:Zazie dans Le Metro
配給:映配