はなればなれに(1964)

「すべて新しいことは無意識のうちに伝統的な事柄に基づく」

当時夫婦だったジャン=リュック・ゴダール

アンナ・カリーナが設立した製作会社

「アヌーシュカ・フィルム」の第1弾作品

 

原題は「Bande à part 」で、フランス語の「faire bande à part

(グループから離れて何かをする=はみだし者)というフレーズに由来

冬のパリ、親友のフランツ(サミ・フレイ)と

アルチュール(クロード・ブラッスール)は、同じ英会話教室に通う

北欧から来たというオディール(アンナ・カリーナ)が

彼女が世話になっているヴィクトリア叔母さんの家で

叔母の愛人シュトルツ氏が隠している大金を見たことを知り

そのお金を強奪しようとするもの

ゴダールといったら、とにかく映画の外見的な魅力

洒落た映像、可愛い女、粋なセリフ

まだいかにもゴダールな知性をひけらかしたようなクドさはなく

(わずか25日で完成させたそうです 笑)

代わりにナレーションによって映像の解釈を促します

将来に何の目的も持てない、若さゆえの虚無と無鉄砲

大金を手にして外国にでも逃げたら人生変わると思っているけど

そこに何の計画性もありません

英会話教室をサボってただぶらぶらと町を徘徊するだけ

フランツはオディールのことが好きでしたが

オディールは口の巧いアルチュールのほうに惹かれ

アルチュールの言いなりになっていきます

ノ は? そうか
トレビアンは? いいさOK
マコーは? わかった
パルフェは? 良かろう
ウイウイは? よしよし
コワは?「何それ?」
「女は喜び男が悲しむってことさ、キスをしたことは?」
「舌を使うんでしょ」

「結婚とは?」

「胸と脚をささげること」

カフェでの「マディソンダンス」や

(「パルプ・フィクションのダンスシーンに影響を与えている)

ルーブル美術館を駆け抜けるのも

ジミー・ジョンソンのもつ9分45秒の世界記録を破る)

単なる退屈しのぎ

その夜彼らは予定より1日早くオディールの叔母の家に強盗に行きますが

シュトルツ氏の部屋のドアに鍵がかかっていたため

(オディールが大金を物色したことがバレたのだろう)

梯子をかけ窓から侵入しようとするも失敗(そのまま梯子を忘れる間抜けぶり)

アルチュールはオディールに鍵を見つけるよう命じます

翌日の夜にアルチュールとフランツが出直すと

オディールは鍵が交換されたと告げ

彼らは叔母さんを縛り鍵のありかを聞くと

叔母さんに猿ぐつわをはめクローゼットに閉じ込めます

しかしシュトルツ氏の部屋にお金がもうないことに気づきます

3人は家中を探しますが、見つかったのはいくつかの札束だけ

叔母さんを尋問しようとクローゼットを開けると

彼女はぐったりとして息をしていませんでした

慌てて逃げる3人

しかしアルチュールは叔母さんが本当に死んだかどうか

確認したいと言って屋敷に戻ります

アルチュールは自分の叔父と叔母にお金のことを知られたため

オディールとフランツを裏切り叔父にお金を渡すことを約束していたからです

アルチュールの叔父が屋敷に向かうところを見た

オディールとフランツも屋敷に戻ることにします

そこでアルチュールは犬小屋の中に隠してあった大金を見つけ

やって来たアルチュールの叔父と銃撃戦になると、ふたりとも倒れます

そこにシュトルツ氏が帰って来ると、叔母さんはシュトルツ氏を出迎え

彼女が生きていたことがわかります

フランツとオディールは盗んだお金を持ち

幌の壊れた車(シムカ)を走らせます

「私は 私を 私に 私たち」
「あなたは あなたを あなたに あなた達」
「彼 彼ら あなたの 彼らの」と呟くオディールに


「南へ行こう」と微笑むフランツでしたが

オディールからの返事はありませんでした

ハラハラも、ドキドキも、何の感動もない雑なコメディですが(褒めています)

カットだけはいちいちカッコよくて

やっぱ見る価値あるなあ、と思わせるゴダールでした(笑)

 

 

【解説】映画.COMより

ジャン=リュック・ゴダール初期の名作で、アメリカの犯罪小説を原作に、2人の男と1人の女が織り成す恋模様や犯罪計画をコメディタッチに描いたメロドラマ。
冬のパリ。性格は正反対だが親友同士のフランツとアルチュールは、北欧からやってきた美しく奥手なオディールにそろって一目ぼれをする。ある日、オディールの叔母の家に大金が眠っていることを知った3人は、その金を盗み出そうと企むが、計画は二転三転し…
当時夫婦だった、ゴダール監督とオディール役の女優アンナ・カリーナが設立した製作会社「アヌーシュカ・フィルム」の第1弾作品。音楽は「シェルブールの雨傘」のミシェル・ルグラン。日本では長らく劇場未公開だったが2001年に初公開された。

1964年製作/96分/フランス
原題または英題:Bande a part
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム