
原題は「A Complete Unknown」(全く誰からも知られてない)で
ボブ・ディランの代表曲 「Like a Rolling Stone」のなかの一節
原作はイライジャ・ウォルドのノンフィクション本
「Dylan Goes Electric!」(邦訳題はボブ・ディラン 裏切りの夏)

ボブ・ディランといったら史上最も偉大なソングライターのひとり
しかもまだ生きている(笑)
よく映画化の許可がおりましたね

それを今いちばん売れっ子で、誰もが顔を知っている
ティモシー・シャラメが演じる
歌唱シーンはシャラメ自身が歌ったもので、事前録音ではなくすべて生の音源
5年半もの間猛特訓したそうです

2018年に公開された「ボヘミアン・ラプソディ」では
フレディ・マーキュリーに全く似ていないラミ・マレックがフレディを演じ切り
ライヴエイドの完全再現に、私らの年代は超盛り上がり
心の中で「フレディーーーー」と叫びましたが(笑)
(こちらはフレディの音源に差し替えられている)

ディランは曲はいくつか知っていますが、オンタイムではなかったので
感動はうっすら
ライヴエイドではキース・リチャーズ、ロン・ウッドと「風に吹かれて」を演奏
しかしこちらは、ギターの弦が切れたりモニタースピーカーを取り払われたり
散々な目にあったことで有名(映画にしたらコメディになりそう?笑)

シャラメも顔は全く似ていませんが(笑)
伏し目がちな横顔に、ディランそのものと思わせる瞬間がある

天才(自己中)ゆえの、他人とのギャップ
若くして大スターになった者しかわからない孤独
ファンやマスコミに追われるストレス
どんなに曲がヒットしても、人気が出ても楽しくない

そんな物憂げな表情が似合うのはシャラメくんだけ
「フォークの貴公子」と呼ばれた男を「映画界の貴公子」が演じる
でも、アカデミー賞にはかすりもしなかった(笑)
(シャラメだって母方はユダヤ系なのに 笑)

1961年19歳だったミネソタ出身のミュージシャン、自称ボブ・ディランは
ガスリーのために書いた曲を披露すると彼を感動させます
ガスリーの親友ピート・シーガーはディランの世話をし
ステージに立つチャンスを与えられ観客を感動させます
そこでディランは人気シンガーのジョーン・パエズと知り合い
絵の勉強をしているシルヴィと同棲をはじめます

ディランのアルバムの制作がきまりますが
レーベルからはカバー曲の録音を強いられ
レコードの売り上げもよくありませんでした

シルヴィはディランにオリジナル曲の録音を後押しし
ディランは政治や社会に対する不安や不満を歌にして(プロテスト・ソング)
ファン、今でいうフォロワーを増やしていきます
(背景にベトナム戦争、キューバ危機、ケネディ暗殺といったニュースが流れる)

さらにパエズとのコラボでコンサートホールの寵児となり
同時にパエズとの不倫関係も始まります
ふたりに仕事以上の親密さを感じ取ったシルヴィは
ディランと別れることを決意

そして1965年のニューポート・フォーク・フェスティバル
ディランはフォークではなく、若い仲間たちとともに
エレクトリック・ロックンロールを披露
名曲「Like a Rolling Stone」の誕生です

しかしそのことはフォークソングファンを怒らせ
恩人である、ピートの顔に泥を塗ること

ピートと主催者からアンコールとしてフォークを演奏してほしいと頼まれ
ディランはいったんは拒否するものの
ジョニー・キャッシュ(「ウォーク・ザ・ライン君につづく道」を参照 笑)
にギターを差し出されると、しかたがなく「ミスター・タンブリン・マン」を歌い
観客を喜ばせます

翌朝バイクでニューポートを出ようとするディランにバエズは
「勝った」「自由を手に入れた」と言います
ディランはそのあと、最後にもう一度ガスリーのもとを訪れたのでした

ジェームズ・マンゴールド監督の音楽愛がいっぱい
そしてこれがノーベル文学賞の詩だとわからせてくれる
でももっとクソなディランも見てみたかったかも(笑)
(監督曰く「伝記ではなく映画にしたかった」らしい)
【解説】映画.COMより
2016年に歌手として初めてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの若い日を描いた伝記ドラマ。「デューン 砂の惑星」「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」のティモシー・シャラメが若き日のボブ・ディランを演じ、「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」「フォードvsフェラーリ」などを手がけてきた名匠ジェームズ・マンゴールドがメガホンをとった。
1961年の冬、わずか10ドルだけをポケットにニューヨークへと降り立った青年ボブ・ディラン。恋人のシルヴィや音楽上のパートナーである女性フォーク歌手のジョーン・バエズ、そして彼の才能を認めるウディ・ガスリーやピート・シーガーら先輩ミュージシャンたちと出会ったディランは、時代の変化に呼応するフォークミュージックシーンの中で、次第にその魅了と歌声で世間の注目を集めていく。やがて「フォーク界のプリンス」「若者の代弁者」などと祭り上げられるようになるが、そのことに次第に違和感を抱くようになるディラン。高まる名声に反して自分の進む道に悩む彼は、1965年7月25日、ある決断をする。
ミネソタ出身の無名のミュージシャンだった19歳のボブ・ディランが、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描いていく。ボブ・ディラン役のティモシー・シャラメのほか、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルックらが共演。第97回アカデミー賞で作品賞をはじめ計8部門でノミネートされた。
2024年製作/140分/G/アメリカ
原題または英題:A Complete Unknown
配給:ディズニー