「死んだら会いに来なくていいわ」
原題は「Mort d'un Pourri」(腐った男の死)
ストリーそのものは、殺された親友が若い愛人に託した
政治家の汚職行為を記録した文書を手に入れた男が命を狙われ
はたして本当に悪い奴は誰なのか?という単純なものですが
主要人物が多いせいでややこしく、わかりづらい
それでも製作はアラン・ドロンが手がけ
カメラには名手アンリ・ドカエ
音楽を担当したフィリップ・サルドは
史上最高といわれるテナーサックス奏者のひとり、スタン・ゲッツを迎え
さらにカルロ・サヴィーナの指揮による
ロンドン交響楽団の一流のメンバーでサントラを録音
(金額はわかりませんが、かなりの高額になったそうです 笑)
知る人ぞ知るジャズ映画音楽の名盤というだけあり、雰囲気はばっちり
オールドファンには嬉しい1作ではないでしょうか
早朝のパリ
実業家ザビエル・マレシャル(アラン・ドロン)通称“ザヴ”のもとにやってきた
親友のフィリップ・デュバイ(モーリス・ロネ)は
同僚のセラノ議員(コレット・デュヴァル)を殺害したことを告げ
アリバイ作りに協力してほしいと頼みます
フィリップの代理人として犯行現場に向かったザヴ
そこでペルネ警部(ジャン・ブイズ)とモロ警部(ミシェル・オーモン)から
「セラノ文書」と呼ばれる政界の大物たち全員の弱みを記していたノートが
なくなったことを聞かされます
そのことをフィリップに問いただすと
セラノはその文書を使い、フィリップに辞任しなければ
彼の汚職をマスコミにばらすと脅迫したため
フィリップはセラノを殺しその文書を奪い
愛人のヴァレリー(オルネッラ・ムーティ)の部屋に隠したと言います
「セラノ文書」を探すためヴァレリーの部屋に行くザヴ
するとふたりは何者かに襲われ
ザヴは「セラノ文書」をヴァレリーに持たせると
RERラ・デファンス駅のコンコースで会う約束をし逃がします
その後フィリップの事務所に戻ると彼は殺されており
ザヴも殴られて気を失ってしまいます
目覚めたザヴはヴァレリーと落ち合いうと、「セラノ文書」に目を通し
政治家、ギャング、警察に至るまで多くの大物たちの
賄賂や汚職やスキャンダルなど、数々の醜聞を知ります
その中にはフィリップのものもありました
ザヴとヴァレリーは文書の1枚1枚をカメラに収めると
RERラ・デファンス駅のロッカーに隠し
ヴァレリーを田舎で暮らす友人(アンリ・ヴィルロジュー)に
かくまってもらいます
警察が事件の捜査に努めるかたわら
ザヴも単独でフィリップ殺しの犯人を探しはじめます
そんな中、「セラノ文書」のありかを知りたがった
フィリップの妻(ステファン・オードラン)も殺されてしまいます
ザヴは「セラノ文書」に載っていた何人かの政治家と連絡を取り
フィリップ殺しの黒幕を教えないと公開すると脅すと
ロシア人の要人で政財界に国際的な力を持つ
トムスキー(クラウス・キンスキー) が接触をしてきて
ソローニュ(狩猟と釣りで有名なフランス中部の地方)で行われる
狩猟の集まりにザヴを招待します
ザヴはソローニュに行く途中でも殺し屋に襲われ
トムスキーは自分が雇ったのではないと否定したものの
「セラノ文書」を渡さないと言い張るザヴを監禁し
自白剤を投与して強引に聞き出そうとします
そこにペルネ警部がやって来てザヴを救出
ザヴが友人宅にヴァレリーを迎えに行くと
元はギャングの知り合いで、今はトムスキーの手先で実業家になった
フォンダリ(ジュリアン・ギオマール)らの襲撃を受け
友人もヴァレリーも射殺されてしまいます
ザヴには恋人(ミレーユ・ダルク)がいましたが
ヴァレリーにほのかな愛情を感じ始めていたんですね
フィリップだけでなく、ヴァレリーの仇を討つことも誓います
翌日フォンダリのところに行くと、フォンダリはトムスキーに撃たれていて
フィリップ殺しの犯人の名前をザヴに打ち明けます
クラウス・キンスキーには、何をしでかしてくれるのかと期待しましたが(笑)
この程度で終わったのは残念
ザヴは「セラノ文書」を渡したい、とモロ警部を駅に呼び出し
フィリップ殺しを突きつけると「政界を浄化させるため」
国のためにやったことだと私刑警察を気取ります
ザヴはその会話を盗聴し、駅は警察に包囲されていました
実はペルネ警部もモロ警部を疑っていたのです
モロ警部は拳銃を抜きますが、その前にザヴの銃弾に倒れ
「セラノ文書」を受け取ったペルネ警部は
文章を法務大臣に渡すことを約束します
しかしいくら犠牲者が出たとしても
政治家の汚職がなくならないことを、ザヴは知っていました
【解説】映画.COMより
親友の死をきっかけに政界にたちこめる陰謀に立ち向う一人の実業家を描く。製作はノルベール・サーダ、監督は「愛人関係」のジョルジュ・ロートネル。ラフ・ヴァレの原作をジョルジュ・ロートネルとミシェル・オーディアールが脚色。撮影はアンリ・ドカエ、音楽はフィリップ・サルドが各々担当。出演は「パリの灯は遠く」のアラン・ドロン、モーリス・ロネ、「あゝ情熱」のオルネラ・ムーティ、ミレーユ・ダルク、ステファーヌ・オードラン、ミシェル・オーモン、ジャン・ブイーズ、クラウス・キンスキー、ジュリアン・ギオマールなど。
1978年製作/フランス
原題または英題:Mort d'un Pourri
配給:日本ヘラルド映画