
原題は「En Cas de Malheur」(不幸なケース)
「ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB生誕90年祭」で
本命見たかったのが本作
原作はジョルジュ・シムノンの同名小説
脚本はピエール・ボスト
主演はジャン・ギャバンという強力な布陣

実際のところ、BBはクロード=オータン・ララからの
スリラー劇というオファーに悩み
ギャバン御大もBBとの共演に躊躇していたそうですが
さすが御大、だんだんとBBの虜になって行く様子が
演技なのか本気なのか(笑)伝わってきましたね

娼婦と盗みを繰り返す若い娘イベットの弁護を引き受けた
老弁護士アンドレ・ゴビヨ
貧しい娘は弁護料を身体で払おうとし、ゴビヨ弁護士もなぜか拒ばない

地位も名声も金もある優雅な紳士
長年連れ添った寛容で知性のある奥さんもいる
一方で裁判に勝つためには卑怯な手も使う背徳弁護士の一面もある
(仕事をサポートする女性秘書がいい味を出している 笑)

彼もまた善と悪を併せ持つ男だからこそ
本能の赴くまま生きる彼女に惹かれ救おうとします

でもやはり、自分の思い通りになる女ではなかった
イベットは若いVespa乗りのマゼッティとも関係を持っていました
マゼッティは働きながら勉強している医学生ですが
嫉妬深くストーカー化

ゴビヨはイベットが時計職人の夫婦を襲ったときの無罪を勝ち取るため
偽証人に金を払った疑いで審議にかけられることになり
キャリアが脅かされているにも係わらず

マゼッティから守るためイベットに豪邸を買い与え
ジャニーヌという住み込みの女中も雇います

退屈な爺さんの愛人生活の中
年の近いジャニーヌはイベットの良い友だちになります
やがてイベットが妊娠したことがわかり
ゴビヨは自分でも驚くほど感動してしまい
イベットとスキー旅行に行く計画をたてます
(妊娠中にスキーするのはやばいだろ)

イベットは喜び、おそろいのブーツをジャニーヌにプレゼント
さらにおそろいのセーターを買ってマゼッティに会いに行きます

夜になってもイベットは帰宅せず、ゴビヨの不安は的中
マゼッティのアパートに向かうとそこには人だまりができていました

刑事が言う「これはあなたの弁護した娘でしたね?」
「娘が帰るというのに、男が帰さなかったのだそうです」

ジャン・ギャバンといえば、これぞフレンチノワールという後ろ姿
愛する女が死んだ悲しみと同時に(BBのなんと美しい死に顔よ)
たぶん帰るのは奥さんの待つ家なのだろうと
溜飲が下がる思いが伝わる背中に痺れずにいられない

この時代の映画(洋画邦画にかかわらず)に
プレイボーイや男の浮気、不倫、愛人、妾ものが多いのは
戦争で若い男が大勢死んで、男性の数が圧倒的に少なかったんですね
なので安定した仕事がある、金がある男が複数の女性の面倒をみる
恋人のいる女性が経済力のある男と付き合うということも
よくあることだったのでしょう

どんでん返しとはいかず、自業自得なラスト
でもイベットは嘘つきじゃない
ただ同時にふたりの男に愛を与えようとしただけ
【解説】映画.COMより
フランスが誇る名優ジャン・ギャバンとブリジット・バルドーが共演し、恵まれない境遇から非行に走る女性と、彼女のために危ない橋を渡る弁護士の男性の関係を通してブルジョワの欺まんや悲哀を描いたクライムサスペンス。
イギリスの女王エリザベス2世の来仏に沸き立つパリ。天涯孤独でお金に困っていたイヴェットは友人とともに時計店へ強盗に入り、騒ぎ立てる店員を工具で殴りつけて逃亡する。友人は逮捕されるが、イヴェットは罪を逃れるため、高名な弁護士ゴビヨを頼ることに。イヴェットに誘惑されたゴビヨは偽の証人を立てて彼女の無罪を勝ち取り、妻の忠告も聞かずにイヴェットを愛人としてホテルの一室に囲う。イヴェットは医学生マゼッティとも恋仲となるが、ゴビヨとの贅沢な生活を諦めきれず……。
「メグレ警視」シリーズで知られる作家ジョルジュ・シムノンの小説を原作に、「肉体の悪魔」「赤と黒」のクロード=オータン・ララ監督がメガホンをとった。「ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB生誕90年祭」上映作品。
1958年製作/117分/G/フランス
原題または英題:En cas de malheur
配給:キングレコード