「それでは目覚ましソングを流します」
原題は「Good Night Oppy」
よかった、とても感動しました
見終えた後にはタイトルを見ただけで泣きそうになります(笑)
2004年、NASAが打ち上げた双子の火星探検ロ―バー
スピリットとオポチュニティ(Oppy)の
ドキュメンタリーを交えたモキュメンタリー
正式名称はマーズ・エクスプロレーション・ローバーAとB
(Mars Exploration Rover , MER)
高さ1.5m 、幅2.3m、長さ1.6m、重さ180kg
太陽光発電、6輪駆動、最大斜度30度対応、秒速5cm
ロボットアーム、分光計、顕微鏡、各種カメラを搭載
想定寿命は火星日で90ソル(1ソルは地球の1日より約40分長い)
しかしスピリットは約22倍の寿命を
Oppyは55倍の約15年間を
火星での岩石や水の存在の探査のため健闘したのです
その間、プロジェクトにかかわったすべての人々が
ローバーの親になり家族になる
産みの苦しみ、旅立つ不安、成功を成し遂げた時の喜び
ときには喧嘩するときもある
(サイエンスチームと探査チームとの意見のぶつかり合い)
何があってもOppyとスタッフの間には「愛」がある
NASAにも開発から25年という長い間には世代交代もありました
Oppyもすでに古型のコンピューター
メモリー障害、部品の損傷、アームの故障
(スタッフはShe(彼女)の認知症や関節炎と呼ぶ)
再起動のためには目覚ましソングと称する歌をかけます
その日1日うまくいくための
「Born to Be Wild」(Steppenwolf)
何日間も夜通し起動したOppyを休ませるための
「S.O.S.」(ABBA)
スタッフを元気づけるための
「Here Comes The Sun」 (The Beatles)
オフィスの雰囲気を変えるための
「Wake Me Up Before You Go-Go」(Wham! )
2018年6月1日、火星を大規模な砂嵐が襲い
Oppyのソーラーパネルが砂で覆われ充電できなくなってしまいます
6月6日に低電力モードに移行したものの
6月10日、ついに通信が途絶えてしまいました
その後も復旧に向けたコマンド送信が続けられましたが
2019年2月14日、ついにミッションは終了します
スタッフが最後に用意した曲は
ビリー・ホリディの「I’ll Be Seeing」でした
朝日の中で君を見つける
夜が更けた時
僕は月を見ている
でもまた会おう
「さよなら」でなく「おやすみ」
15年間お疲れさまでした
今もOppyは火星のどこかで眠っている
そしてOppyの偉業は
若い科学者たちへと引き継がれていきました
【解説】シネマトゥディより
アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「オポチュニティ」の開発や調査の軌跡、ロボットと人間との絆などを記録したドキュメンタリー。2004年1月から約90日間の予定で火星の探査を開始し、予想をはるかに上回るおよそ15年におよぶ任務を遂行した「オポチュニティ」の映像や、開発者やエンジニアなど計画に携わった人々が語るインタビューなどを映し出す。監督を『わたしは金正男(キム・ジョンナム)を殺してない』などのライアン・ホワイトが務める。
2003年7月、火星探査車「オポチュニティ」を載せたロケットが打ち上げられる。約半年後、火星に到着した探査車は、火星における任務を開始する。当初、約90日の予定だった任務は想定を超え、「オポチュニティ」は厳しい冬や砂嵐に耐えながらおよそ15年にわたって活動を続けた。