アデル、ブルーは熱い色(2013)

原題は「LA VIE D'ADELE Chapitres 1 et 2

(アデルの生涯 第1章と第2章)


原作は2010年に刊行されたコミックス

Le bleu est une couleur chaude」(ブルーは熱い色)
著者のジュリー・マロ(1985~)はフランス生まれの女性BD(同性愛可)

フランス映画にしては長い約3時間

原題の通り2部作のひとつの作品で

アプローチは「ナインハーフ」(1986)と

「追憶」(1973)を足した青春レズビアンorクィア)版

カンヌ国際映画祭では審査委員長を務めたスティーブン・スピルバーグ

「これは同性愛の物語ではなく、偉大な愛の映画だ」と絶賛し
アブデラティフ・ケシシュ監督とともに、主演女優ふたりが

そろってパルムドール受賞という史上初の快挙を成し遂げました

すごくよかったですね

難を言えば無駄にセックスシーンが長いこと(笑)

完璧で若い女性の裸体が絡み合う姿は

美しく芸術的ですらありますが

Netflixでモザイクなしで見れます 笑)

アデル・エグザルホプロスもレア・セドゥ

本物のレズビアンではないと思うんですね

つまり監督の指示でやっているということ

結局は男の求めるセックスにしか見えない

レア・セドゥ曰く、ワンシーンに10日間100カットをかけ

6時間もオーガズムを経験したかのような演技を求められたそうです

それこそ女性の身体をわかっていない(笑)

本物のレズビアンの指導があったほうがよかったと思います

本物のレズビアンがどういうものかにも興味ありますし(笑)

前半は高校2年生で17歳のヒロイン、アデルが

男の子と付き合っても満足しない自分の性に悩み

やがて理想の女性エマと出会いオーガズムの悦びを知るというもの

周囲との葛藤に苦しみながら18歳の誕生日を迎えます

後半は社会人になり念願だった先生として働くアデル

エマと暮らし妻のように献身的に尽くします

芸術と自由をこよなく愛するエマはだんだんとアデルが負担になり

パーティで再会したかっての恋人リーズと会うようになります

やけくそになったアデルは職場の男性と浮気をしてしまい

そのことはエマにばれ、ふたりは別れてしまいます

思えば最初からふたりは住む世界が違っていたんですね

一般的な家庭に育ち、生きていくために無難な仕事をして

好きな人と一緒に暮らすのが幸せが信条のアデルと

お金持ちでリベラル、芸術や哲学を教えられグルメなエマ

エマがレズビアンであることを

家族や周囲の人間にオープンであるのに対し

アデルは隠し通している

アデルの家に食事に招かれたエマが

アデルの両親の前では途端に小さくなっているのは可愛い(笑)

 

最初はお互い一目惚れ、刺激的な肉体関係に溺れ

それが愛だと思っていた、幸せだった

やがて学生時代を卒業して大人になり

美術の世界で苦しみながらも夢を追いかけるエマ

アデルに対しても精神的な繋がりを求めるようになります

だけどアデルは高校生の頃から成長しておらず

肉体的に愛されていないと不安に思う


エマにとってはそれが束縛だったんですね

だからといってアデルへの愛が冷めたわけじゃない

でもアデルにはそれがわからない

「もっと好きなことをやりなよ・・」

 

カフェで再会する長いショット最大の見せ場で

どうにかエマの愛を取り戻そうとする惨めなアデル

一緒には生きていけないと涙を流すエマ

(フランスのカフェではこんなことやっちゃっていいのか 笑)

季節は変わり、エマの展覧会に招待されたアデルは

エマたちと自分の住む世界が違うこと(階級の差)をやっと認識します

そしてひとり会場をあとにするのでした

 

この先もアデルは恋をしていくのでしょうが

10代の頃のような恋愛はもう二度とできないですよね

そして過去は美しい思い出になっていく

ちなみに原作ではアデルは薬物中毒になって死んでしまうそうです

そっちのラストも否定はできないですね

 

ツッコミどころもありましたが(笑)

全体的に凄く好み、私のスタンス

お気に入りにさせていただきます

 

 

 

【解説】allcinema より

2013年のカンヌ国際映画祭でみごとパルムドールに輝いた女性同士の愛の物語。青い髪をした年上の女性と出会い、レズビアンに目覚めていくヒロイン、アデルの情熱的な愛の人生を描く。作品のテーマとともに、その赤裸々な性愛描写が物議を醸した問題作。出演は「ルルドの泉で」「マリー・アントワネットに別れをつげて」のレア・セドゥと本作の演技で一躍注目の存在となったギリシャ系フランス人の新星、アデル・エグザルコプロス。監督はこれでまでにも数々の映画賞を獲得してきた俊英、アブデラティフ・ケシシュ
 高校生のアデルには上級生の恋人トマがいたが、満たされぬものを感じていた。そんな時、髪をブルーに染めた女性とすれ違い、心奪われる。すぐにトマに別れを告げたアデル。ある夜、偶然入ったバーであの青い髪の女性と再会する。彼女の名はエマ。年上の美大生だった。知的で洗練されたエマに急速に惹かれていくアデル。ほどなく、互いに心だけでなく肉体も激しく求め合うようになる2人だったが…。