永遠に僕のもの(2018)

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原題は「EL ANGEL」(天使)

 

1971年アルゼンチン、ブエノスアイレス

11件の殺人と40件以上の強盗、窃盗、誘拐

レイプ共犯などで有罪判決を受けた

当時19歳のカルロス・ロブレド・プッチ(1952生)がモデル

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主人公がもう竹宮恵子の「風と木の詩」から

飛び出してきたような美少年(笑)

 

年代的にも竹宮先生、彼をモチーフにジルベールを描いたのではないかと

思うくらいなんですけど

竹宮先生本人が「ヴィスコンティ映画(ベニスに死す)の影響を受けた」と

明言しているので単なる偶然なのでしょう

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17歳の金髪の美少年カルロスはオートバイを盗んでは

友だちに借りたと母親に嘘をつき

ガールフレンドには盗んだネックレスを

母親が若い時使っていたものだとプレゼントします

生まれながらの泥棒、盗んでは平気で嘘をつく繰り返し

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少年院出所後、入学した職業訓練高校で

ラモンという男に惹かれ喧嘩を売ります

最初はカルロスを(ゲイだと思い)鬱陶しく思っていたラモンですが

カルロスが本物のワルだと知ると父親に紹介することにします

 

ラモンの父親ホセは本物のギャングでヤク中でした

ホセはカルロスの度胸と才能を見抜き、3人で銃砲店へ侵入

大量の銃と弾丸を盗むことに成功しますが

計画を無視して勝手に行動するカルロスを危険だと叱ります

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次に裕福な老人の家に強盗に入りますが

そこでカルロスは老人に発砲して死なせてしまいます

老人が見ていた壁に飾っていた絵画を持ち帰り自分の部屋に飾る

不審に思った母親はカルロスのベッドに銃を見つけます

カルロスは動揺する母親に銃口を向けたあと部屋を去り

ラモンの家に寝泊まりするようになるのです

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そこでラモンの母アナはカルロスに欲情しますが

彼は「ホセに悪い」と興味を示しませんでした

だからといってカルロスもラモンも、女の子のことは嫌いではないんですね

デートもするし、可愛い娘と一緒に遊ぶのは楽しい

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その後カルロスとラモンは本格的に盗みをするため

地元を離れ偽の身分証明書を作りホテルに住み始めます

宝石店に忍び込んだカルロス焦るラモンをよそに

イヤリングを耳につけたり、店の奥の金庫をこじあけようとします

「盗みをやっているんだぞ」と言うラモンに

「違うよ 生きてるんだ 楽しまなきゃ」と答えるカルロス

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結局金庫は開かず、ふたりは美術収集家のフェデリカに会いにいきます

(ラモンをゲイとからかった店員はあとでふたりに射殺される)

フェデリカに気に入られたラモンは部屋に連れていかれ

性的サービスを要求されると

ラモンは演技の勉強をすすめられ、テレビ出演することになります

スターを夢見るラモンは上機嫌でしたが、テレビを見たラモンの両親は激怒

カルロスだけがラモン理解し応援する素振りを見せます

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ある日ラモンの運転する車が検閲に引っかかってしま

身分証を忘れたラモンは警察に逮捕されてしまいます

カルロスが署長を買収するため金を取りに家に行き

再び署に戻ると罠であることに気付きました

 

カルロスはラモンを見捨ててその場を去り、母親の元に帰ります

何事もなかったかのように夕食を食べ、親子3人で旅行に行くことを提案

所長に渡すはずだった大金の入ったカバン両親に差し出します

その夜カバンを庭に埋める父親

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数日後、フェデリカが保釈金を払い釈放されたラモン

そこにはラモン留置所で知り合った新しい相棒のミゲルがいました

しかもラモンはフェデリカとパリへ行くと約束したというのです

 

カルロスの心がざわつきます

 

3人で牛乳の輸送車を強盗したとき

運転手が銃向けてきたので、カルロスは何発も発砲して殺してしまう

ホセはカルロス証拠隠滅のため)ひとりで車を燃やしに行けと命令します

親の言いなりのラモン、面白くないカルロス

狂ったように車にガソリンを放ち火をつける

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ある夜車を走らせていると、助手席のラモンが寝ていました

カルロスは猛スピードを出し車線変更、衝突事故を起こしラモンは死にます

息子を失ったショックで引っ越してしまうホセとアナ

 

カルロスはかつてラモンと侵入した宝石店へミゲルと押し入

警備員を射殺すると、店の奥にあった金庫をバーナーで焼きます

しかし金庫空っぽでした

ミゲルが金をひとり占めしたのではないかと疑うと

カルロスはミゲルを銃殺し、バーナーで彼の顔を焼くのでした

翌日、カルロスはあっけなく逮捕されます

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カルロスはわざとスプーンを飲み、診察室で看守の目を盗んで脱走

今は空き家になったラモンの家に行き、ラモンのベッドで眠る

翌朝(空腹だし金もない)母親に「会いたい」と

電話で居場所を教えてしまいます

そしてラジオの曲にあわせて踊っているとき

家の周りは大勢の武装警官で囲まれていました

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カルロスは欲しいものは盗み、邪魔な人間は躊躇なく殺すけど

ラモンへに対する愛はプラトニックなもので

叶わぬものでした

 

サイコパスものだけど映像はレトロでお洒落、ファッションも可愛い

映画としての評価は難しいのですけれど

BLボーイズラブ)ものが好きな腐女子様には

目の保養になること間違いなし(笑)

ぜひ見ていただきたいと思います



 

【解説】allcinema より

1970年代にアルゼンチンで実際に起きた連続殺人事件をモチーフに描くクライム青春ムービー。美しき17歳の少年が、ためらいもせずに次々と重大な犯罪に手を染めていく衝撃の犯罪遍歴を描く。主演は本作がスクリーン・デビューのロレンソ・フェロ。共演にチノ・ダリン、ダニエル・ファネゴ、セシリア・ロス。監督はアルゼンチンの俊英、ルイス・オルテガ1971年、ブエノスアイレス。何不自由ない生活を送る17歳の美少年カルリートスだったが、遊びを楽しむように犯罪に手を染め、ほとんど罪の意識を感じることもなかった。やがて彼は、転校先で野性的な魅力に溢れたラモンと出会い意気投合し、2人でコンビを組んでさらなる罪を重ねていくのだったが…。