「笑われるんじゃねえぞ、笑わせるんだよ」
「芸人だよ、バカヤロウ」
演芸が舞台からテレビに以降する過渡期(かとき)を描いた
昭和ロマン溢れるノスタルジックな仕上がり
それを映画館から映画を配信動画時代にした
Netflixに撮らせるのは皮肉に感じましたが(笑)
芸人になることを夢見る青年が
尊敬していた師匠を追い越し有名になる
一方の師匠は時代の流れに取り残され忘れ去られていく
捻りはないけど、ストレートでわかりやすいストーリーは見やすい
1972年、ストリップ劇場浅草フランス座
伝説の浅草芸人、深見千三郎(大泉洋)に弟子入りしたたけし(柳楽優弥)
エレベーターボーイから雑用係になり、タップダンスの練習に明け暮れる
深見に気に入られたたけしは、代役の女役で舞台に立たせてもらうものの
深見はたけしのヘンな女言葉を笑う観客たちを怒り出す
「下手な拍手をしたらコイツがダメになる」のだと
そしてたとえ劇場がギリギリの経営状態でも
メシに行って弟子たちにお金を払わせることはない
常に師匠としてのメンツは保ちます
たけしは師匠にも周りの人間にも
寡黙であまり思ってることを言わないんですね
歌手志望のストリッパー千春(門脇麦)に
淡い思いを抱いているけど打ち明けることはない
まあ実際は「フライデー襲撃事件」や
起こしたようなヤツですから
こんなにストイックだったかどうかは、わかりませんけど(笑)
深見の指導もあり、だんだんとお笑いの頭角を現わしていくたけし
そこにかっての兄弟子のキヨシがやってきて
これからは「漫才」の時代がやってくる、コンビを組もうと誘います
すでにストリップ劇場は下火で客も少ない
いくら面白いコントをやっても誰も見てくれない
たけしは浅草フランス座を辞めることを深見に告げ
キヨシとドサ回りをするようになります
しかしそう簡単に売れるほど世の中は甘くない
そこでたけしは深見のように客を怒鳴り散らしたり
コンビ名を「ツービート」に代え
過激で攻撃的なネタを追及して人気を得ます
キヨシ役がナイツの土屋なので、ボケも本当に上手い(笑)
ついにテレビ主演のチャンスを掴むものの、舞台と違い過激なネタはNG
それでもたけしはネタを変えることなく
ついに「第10回日本放送演芸大賞」でツービートは特別賞に選ばれ
(翌年の1983年にはビートたけしで大賞を受賞)
たけしはその賞金を持ち深見のアパートを尋ねたのでした
深見の妻、麻里(鈴木保奈美)は過労がたたりすでに亡くなっており
深見は町工場で働く身でした
それでもその夜はふたりでぱぁーっと飲みに行った
浅草フランス座時代のお笑いネタで客たちを笑わせる
深見千三郎が泥酔して火事で死んだのは本当にあった話なのですね
(賞金を「小遣い」と受け取ったのは亡くなる1カ月前)
柳楽優弥はたけしより美男なので(笑)顔こそ全く似ていませんが
歩き方や後ろ姿なんかはもうそっくり
過度なモノマネ(チック症)にしすぎていないのはうまかったですね
現在のたけしさんの特殊メイクは必要だったのかな(笑)
ひとりの有名人を登場されるより、最後まで「浅草」の話にしたほうが
私は良かったような気がします
「自分は有名になる事では師匠を超えられたが
芸人としては最後まで超えられなかった」 北野武
【解説】映画.COMより
ビートたけしが自身の師匠である芸人・深見千三郎と過ごした青春をつづった自伝「浅草キッド」を映画化。劇団ひとりが監督・脚本を手がけ、多くの人気芸人を育てながらも自身はテレビにほとんど出演しなかったことから「幻の浅草芸人」と呼ばれた師匠・深見や仲間たちとの日々と、芸人・ビートたけしが誕生するまでを描き出す。昭和40年代の浅草。大学を中退し、「お笑いの殿堂」と呼ばれるフランス座のエレベーターボーイをしていたタケシは、深見のコントにほれ込んで弟子入りを志願。ぶっきらぼうだが独自の世界を持つ深見から、“芸ごと”の真髄を叩き込まれていく。歌手を目指す踊り子・千春や深見の妻・麻里に見守られながら成長していくタケシだったが、テレビの普及とともにフランス座の客足は減り、経営は悪化していく。やがてタケシはフランス座の元先輩キヨシに誘われ、漫才コンビ「ツービート」を結成。深見の猛反対を押し切ってフランス座を飛び出し、人気を獲得していく。深見を大泉洋、タケシを柳楽優弥が演じる。Netflixで2021年12月9日から配信