湯を沸かすほどの熱い愛(2016)

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たまには感動的な映画も見ないと、ということで(笑)

2016年度の日本の映画賞を総なめにし

満足度ランキングでも1位を獲得にした本作

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ところどころに伏線が置かれ、回収していく脚本は見事で

学校でのイジメ 、余命僅か、母娘の再会など

アザといなとは思いますが(松坂桃李は不用、完全な客寄せパンダ)

涙を誘うシーンがいくつもありました

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冒頭で「お母ちゃん なんか味噌汁味変だよ?」という何気ない

母の双葉(宮沢りえ)と娘安澄(杉咲花)の会話

〇安澄に「勝負ブラ」をプレゼントする

〇安澄が手話を理解できる

安澄の誕生日に「酒巻さん」という人から毎年届く「カニ

双葉は「子どもが書いた方が相手は喜ぶ」という理由で

必ず安澄にお礼の手紙を書かせる

〇行方不明になった夫の一浩(オダギリジョー)を

探偵(駿河太郎)に探してもらい、銭湯「幸の湯 」を再開する

〇引き取った(夫の隠し子?)鮎子の鞄にあった手紙と、番台から小銭を盗鮎子

安澄と鮎子を連れ「酒巻さん」篠原ゆき子)に会いに行く

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それは、末期がんであと僅かしか生きられないと医者から宣告された双葉が

死ぬ前にやらなければならないことの決意でもありました

ひとり娘の安澄を、虐めに負けず学校に行けるように

働いて自立できるように、強く逞しくすること

そして安澄の出生の秘密を打ち明けること

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そのために甲斐性のない夫を呼び寄せ

「働かざる者 食うべからず」をモットーに

安澄にも鮎子にも銭湯の仕事も家事も手伝わせます

そこが自分たちの家であり、家族であり、居場所なんだと

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双葉にも安澄や鮎子と同じように

母親に捨てられた過去があったのです

自分は決して娘たちを見捨てない

彼女たちが強く生きられるようになるまで諦めない

その意志は娘たちに引き継がれ、双葉は息を引き取ります

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宮沢りえの痩せた身体が妙にリアルで

涙が溢れてしまうわけですが

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問題のラストですね(笑)

監督はファンタジックにしたかったのかも知れませんが

あまり観客はばかにしないほうがいい

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人が死ぬと役所に死亡届と死亡診断書を提出しなくてはならず

死亡届が受理されると、火葬許可証が発行されます

(ほとんどの都市では条例で土葬は禁止、火葬のみ)

火葬場の職員によりお骨が渡され「埋葬許可証」が発行

(埋葬、火葬の状況は必ず区市町村に報告される)

納骨(必ずお墓に埋葬する必要はない)という手順になるわけで

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これらの許可を受けず、勝手に火葬や埋葬することは

刑法第190条の「死体損壊・遺棄罪」にあたります

つまり、この家族は犯罪者ということ

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感動的だったら死体遺棄でもなんでもオッケー、オッケー!

客が入ったら、そんなことどうでもいいんだよ~、なんて

さすが日本アカデミー賞

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最後の最後で、いつまでたっても体制の変わらない日本映画の奥深さを

見せつけられた気分になりました

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残念無念

私の涙を返してくれ!(笑)





【解説】allcinema より

チチを撮りに」で注目された期待の新鋭・中野量太監督が宮沢りえを主演に迎えて贈る感動の家族ドラマ。夫が蒸発し、中学生の娘がイジメに苦しむ中、突然余命2ヵ月と宣告された主人公が、絶望することなく持ち前の明るさで家族の再建に奔走し、周囲を大きな愛で包んでいく姿を描く。共演に杉咲花駿河太郎オダギリジョー
 銭湯“幸の湯”を営む幸野家。しかし父の一浩が一年前に蒸発してしまい、銭湯は休業状態に。母の双葉は代わりにパン屋でパートをしながら中学生の娘・安澄を育てている。そんなある日、突然倒れた双葉は、ガンで余命2ヵ月と非情な宣告を受ける。ショックを受けつつも、現実に気丈に立ち向かい、家出した夫の捜索や銭湯の再開、学校でイジメに遭っている娘を叱咤して独り立ちさせる、といったやらなければならないことをリストアップし、すぐさま行動に移す双葉だったが…。