単なるパニック映画ではなく
何故、日本列島が沈むのかという最大の疑問にどう答えるか
素人にもわかるよう「地球を半熟のゆで卵」に例えた
学術的な説明にかなりのウェイトを割いているのでわかりやすい
説明する学者は演技をする風もなく
本物の学者ではないかとさえ思えます
後半はどうやって1億人以上の日本人を助けるかという問題に
政府が取り組むことになります
外務大臣は国連に助けを求め
総理自ら各国の首脳に会い難民の大量受け入れをお願いする
そうしているうちに第一波では巨大地震が起こり
以降、津波、噴火、地割れが列島を遅い都市は壊滅
港湾の工場地帯、道路、橋梁、家屋が軒並み破壊されていく
陸海の自衛隊が飛び交う中
人々は逃げ惑い、倒れたり、血を流し
デモ化し皇居内に避難させろと要求する人々や
巨大津波に襲われるという警告も聞かず
小さな漁船に乗り込み中国や北朝鮮に逃げようとする者
丹波哲郎にあまり首相の雰囲気はありませんが(笑)
ここまで決断力と行動力のある指導者はいないと思う
またこの頃の政治家の裏には「影の黒幕」と呼ばれる賢者がいて
日本沈没後、日本人はどう生きるべきか学者たちに意見を求める
学術会議のメンバーはこういうときのためにあるのか(笑)
大国との避難交渉が困難なものでしたが
四国が、東北が、北海道が次々と裂け海に沈んでいくと
生き残った国民は続々と避難していきました
やがて、日本列島の姿は全て海中に消えてしまうのです
資産家の令嬢(いしだあゆみ)のロマンスがあり
離れ離れ異国の地で「日本難民」になったふたりは再び巡り会えるのか
日本人のその後を案じるような結末を迎えます
「空前の大ベストセラー」と評された小松左京の原作もあるでしょうが
科学的根拠も日本人論も押さえ、自然現象という
真摯なテーマに真面目に取り組んだ映画作りには好感
CGなしの時代のアナログ技術の凄さには感嘆
そしてこの作品を見て、日本とは、国とは、民族とは
政治とは何かを改めて考えさせられる
ということは、やはり傑作なのでしょう
【解説】KINENOTEより
日本海溝の異変から日本列島が沈没すると予測した博士を中心に、日本民族救出のためのプロジェクト・チームが秘密裡に結成され、活動する様を、列島が大異変をくり返しながら沈没するまでを描く。脚本は「現代任侠史」の橋本忍、監督は「放課後」の森谷司郎、撮影は「日本侠花伝」の村井博と、木村大作がそれぞれ担当。