日本沈没(1973)

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単なるパニック映画ではなく

何故、日本列島が沈むのかという最大の疑問にどう答えるか

素人にもわかるよう「地球を半熟のゆで卵」に例えた

学術的な説明にかなりのウェイトを割いているのでわかりやすい

説明する学者は演技をする風もなく

本物の学者ではないかとさえ思えます

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後半はどうやって1億人以上の日本人を助けるかという問題に

政府が取り組むことになります

外務大臣は国連に助けを求め

総理自ら各国の首脳に会い難民の大量受け入れをお願いする

 

そうしているうちに第一波では巨大地震が起こり

以降、津波、噴火、地割れが列島を遅い都市は壊滅

港湾の工場地帯、道路、橋梁、家屋が軒並み破壊されていく

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陸海の自衛隊が飛び交う中

人々は逃げ惑い、倒れたり、血を流し

デモ化し皇居内に避難させろと要求する人々や

巨大津波に襲われるという警告も聞かず

小さな漁船に乗り込み中国や北朝鮮に逃げようとする者

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丹波哲郎にあまり首相の雰囲気はありませんが(笑)

ここまで決断力と行動力のある指導者はいないと思う

またこの頃の政治家の裏には「影の黒幕」と呼ばれる賢者がいて

日本沈没後、日本人はどう生きるべきか学者たちに意見を求める

学術会議のメンバーはこういうときのためにあるのか(笑)

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大国との避難交渉が困難なものでしたが

四国が、東北が、北海道が次々と裂け海に沈んでいくと

アメリカ、ソ連、中国から救助の手がさしのべられ

生き残った国民は続々と避難していきました

やがて、日本列島の姿は全て海中に消えてしまうのです

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そこに深海潜水艇の操艇者である小野寺(藤岡弘)と

資産家の令嬢(いしだあゆみ)のロマンスがあり

離れ離れ異国の地で「日本難民」になったふたりは再び巡り会えるのか

日本人のその後を案じるような結末を迎えます

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「空前の大ベストセラー」と評された小松左京の原作もあるでしょうが

科学的根拠も日本人論も押さえ、自然現象という

真摯なテーマに真面目に取り組んだ映画作りには好感

 

特撮もさすがは「ゴジラ」「モスラ」の東宝(笑)

ここでも「ゴジラ」「モスラ」のスタッフが集結

CGなしの時代のアナログ技術の凄さには感嘆

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そしてこの作品を見て、日本とは、国とは、民族とは

政治とは何かを改めて考えさせられる

ということは、やはり傑作なのでしょう

 

 

【解説】KINENOTEより

日本海溝の異変から日本列島が沈没すると予測した博士を中心に、日本民族救出のためのプロジェクト・チームが秘密裡に結成され、活動する様を、列島が大異変をくり返しながら沈没するまでを描く。脚本は「現代任侠史」の橋本忍、監督は「放課後」の森谷司郎、撮影は「日本侠花伝」の村井博と、木村大作がそれぞれ担当。