どら平太(2000 平成12)

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オープニングクレジットに浮かぶ監督、市川崑

原作、山本周五郎

脚本、黒澤明木下惠介市川崑小林正樹

主演者、役所広司菅原文太石橋蓮司 ・・・という錚々たるメンバー 

どんな凄い映画なのかと期待が膨らむわけですが

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テレビの2時間ドラマでもこの出来の悪さはない

一体何があったのでしょう(笑)

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プロットはダシール・ハメットの「血の収穫」で

一番有名なのは黒澤明の「用心棒」(1961)ですが

主人公は破天荒で無双なものの、こちらは大団円

こんな微妙なコメディなら、ミュージカルでもしたほうが面白かったかも(笑)

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悪い国家老、大滝秀治加藤武神山繁仲谷昇津嘉山正種が集まる小藩に

お上の命令で江戸からやってきた、これまた「どら平太」という悪名を持つ不良藩士

役所広司がやってきます

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ところがどら平太は、濠外(ほりそと)と呼ばれる藩士立ち入り禁止の

博打に抜け荷(密輸)に売春と悪行三昧の無法地帯に乗り込み

藩には現れずサイコロと女遊びの日々

口八丁で濠外を牛耳る石橋蓮司石倉三郎菅原文太親分の懐に飛び込みます

悪い顔オンパレード(笑)

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実は藩にはヤクザからかなりの上納金が収められ

家老達は濠外での悪事を見て見ぬふりをしていたのです

どら平太は家老と濠外の汚職を一掃する証拠を掴むため

わざと遊び人のふりをしていたのです

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しかしそこに現れたのは、どら平太を追って

江戸からやって来た勝気な芸者、浅野ゆう子

無双な男もお転婆な美女だけにはヨワイ・・

というありきたりでわかりやすいストーリー(笑)

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1969年当時の「四騎の会」のオリジナル脚本(+橋本忍)はわかりませんが

あまりにも主人公の思った通りに上手くいきすぎて

ハラハラ感が一切ないのがつまらない

せめて文太兄いには、もうひと暴れして欲しかった(笑)

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唯一の楽しみは、どの監督がどの脚本を描いて

どうリレーバトンしたかを想像するくらい

主人公は黒澤、女は木下、愛嬌とユーモアは市川

その他細かい風俗描写は小林に押しつけた?みたいな(笑)

庵野秀明市川崑の継承者ということもわかる

明朝体のテロップ表現、早いカット割りの映像

 

とにかくネームバリューだけの残念な映画

もったいないの一言です

 

 

【解説】allcinema

黒澤明木下恵介市川崑小林正樹によって結成された「四騎の会」の第1回作品として共同執筆されながらもお蔵入りになっていた山本周五郎原作の時代劇を、騎士の一人である市川崑がメガフォンを取り、「市川監督の時代劇に出演したい」と熱望していた役所広司が念願かなって主演した、痛快新時代劇エンタテインメント。或る(小)藩の町奉行所に着任した望月小平太はその豪快振りから“どら平太”という仇名まで付く型破りな役人。彼はこの藩の壕外と呼ばれる所で権力を握る三人の親分の不正を正すべく、思いも寄らない方法で彼らを取り込もうとするが……。