不滅の女(1963)

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「偽のビザンチウムを作っているところよ」
「修復中と言えよ」
「どっちだって同じことよ」

原題は「L'IMMORTELLE」(不滅の)

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アラン・ロブ=グリエの初監督作品
まだ女性を縛る癖はでていません(笑)
ファムファタール系が好きな人にはお薦め

内容は単純で、男が謎の美女を探し回るうちに
死んでしまうというもの(出た単純 笑)

 

【ここからネタバレあらすじ】

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イスタンブールで休暇中のN(男)はフランス語しか話せません
道に迷ったところを、フランス語を話せるL(女)に
白いコンバーチブルで家まで送ってもらいます
お礼にNはLをホームパーティに誘い
LはNにイスタンブールの街を案内します

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突然Lと連絡が取れなくなり、NはLの居場所を探し
だんだんとその執着は強くなります
しかし言葉の通じない異国の地でどうにもなりません

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凶暴そうな犬と一緒な不吉な顔をした男
海辺で釣りをする男
モスクの前でお土産を売る男
アパートの住人
唯一Nの知人を知るカトリーヌ(名前があるのは彼女だけ)

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やっと見つけたLは夜道で黒い犬を避けようと
交通事故で即死してしまいます(女はまた現れる)
次にLのコンバーチブルと思える車を中古車店で購入したNが
Lと同じように交通事故で死んでしまう(男はもう現れない)

 

【ネタバレあらすじ終了】

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とにかく同じシーンの反復と循環
人物は静止していて、特定の場所でしか移動しない
場面、時間の異なるカットの静止画と動画が小刻みに積み重ねられ
各ショットは存在するけど伏線にならず、解決もされず
映像だけが流れて、失われていく

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Lは夢か、おぼろげな記憶か、幽霊か
「不滅」が「死なない」ということなら
最初から実存しないものも死ぬことはない
だけど第三者が「現実だよ」とささやく
女の髪型がボブのときとロングのときがあるから
時間のスパンはかなり長いのでしょう

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見るサイケデリック
現実を忘れて、迷宮に迷いたいときにどうぞ

 

【解説】映画.comより
20世紀の文学界を揺るがした革命的ムーブメント「ヌーヴォー・ロマン」の代表的作家アラン・ロブ=グリエが1963年に発表した映画監督デビュー作。休暇を過ごすためイスタンブールにやって来た教師の男は、陽気だがどこか謎めいた美女と出会う。男は彼女との邂逅を重ねるうち、その不可解さに妄執をかき立てられていき……。従来の劇映画の概念を大きく逸脱した過激な語り口が賛否両論を呼び、ルイ・デリュック賞を受賞した。出演は「唇によだれ」のフランソワーズ・ブリオン、「王手飛車取り」のジャック・ドニオル=バルクローズ。日本では、特集上映「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ」(18年11月23日~、東京・シアター・イメージフォーラム)で劇場初公開