スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988)

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らんぷちゃんのブログのレビューを読んで
気になって、気になって、どうしても見たくなった(笑)
東京っていいところですね、調べたら上映していました

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アップリンク渋谷」には、はじめて訪問させていただきました
これが映画館?という佇まい(笑)
入口は雑貨も売るカフェになっていて
待合室やシアターは「手作りした」みたい(笑)

3つあるうちの2階のスクリーンで鑑賞したのですが
スクリーンは小さめ、天井の配管剥き出しの部屋に
40席ほどの木製のリクライニングが並べられています
観客は私を含め6人(コロナの影響が大きいのだろうけど)

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ストーリーは単純で(オマエはみんな単純にしちまうな)

兄妹が住む砂漠の1件家に、逃亡者の男がやってきて
兄の設計した飛行機で去っていくというもの
砂漠の「鳥人間コンテスト

とにかく強烈なビジュアルに圧倒されます
とにかくメチャクチャなのに美しい

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青い空、白い雲、オレンジの砂漠
打ち捨てられているマルボロの看板広告
十字架だらけの家
車椅子の男、イカれたコスプレ女、クールでいい男

食事は地下に大量に保管されているベイクドビーンズの缶詰と
いかにもバサバサで口の中の水分全部持っていかれそうなパン
(ベティが切ったじゃがいもはどこにいった 笑)
広い砂漠なのに、その閉塞感がハンパない

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男なら逃げ出したくなるのも当然だろう
いつか食料が尽きる日もくるのだろう
一方ベティはその狭い世界から抜け出せない

これは飛行機作りが成功する話ではなく
土地に縛られた兄妹の悲しい物語

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エキセントリックに見えたベティが
衣装もメイクだんだんと可愛いらしく思えてくる
本当は悪気のない、やさしい女の子なんだ

狂気に見えていたものが
虚しさや、寂しさやだったことに気が付く

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らんぷちゃんが「私だけのものにしたい、そんな映画」と
コメントしてくださったのがよくわかります(笑)

あたたかくて、幸せな夢をみた気分なる
バイバイ、飛んでけ飛行機

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北の壁は越えられないかもしれない
でもそんなこと、もうどうでもいいのです

 


【解説】オフィシャルサイトより
『クロウ/飛翔伝説』(94)、『アイ、ロボット』(04)、『キング・オブ・エジプト』(16)などで、圧倒的映像美により独自の世界観を描いてきたアレックス・プロヤス監督が1988年に手掛けた伝説のデビュー作が『スピリッツ・オブ・ジ・エア』である。制作に4年半の月日を費やし、壮大なロマンの物語を完成させた。『荒野の千鳥足』(71)の舞台となり、『マッドマックス2』(81)や『プリシラ』(94)の撮影地として知られる豪州ブロークン・ヒルにて撮影、登場人物はたった3人のみ。「空を飛ぶこと」への憧れを持つ男を軸に、《絶望》と《希望》、《夢》と《現実》の寓話を幻想的に描き出し、その世界観はセルジオ・レオーネアンドレイ・タルコフスキーテリー・ギリアムらを彷彿とさせる。荒廃した近未来を想起させる美術と衣裳は、時代性を超越した造形とデザインで、我々の心を遥か彼方へと連れて行く。また、ピーター・ミラーによる印象的なサウンドトラックは、憧憬と哀愁を感じさせ、エンニオ・モリコーネアンジェロ・バダラメンティ、さらにはミニマル・ミュージックで有名なフィリップ・グラスを想起させると高評価を得ている。
同年のオーストラリア・アカデミー賞にて最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされたほか、第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて審査員特別賞を受賞。91年には日本でも劇場公開され、レイトショーで12週間のロングランとなるヒットを記録するも、その後は長年に渡って観る事が難しい<失われた作品>として存在感を高めてきた。心に深い余韻を残すファンタジーの傑作が、今回ついに監督自身の手によるデジタル・リマスター版として、30年の時を超えスクリーンに帰ってくる。