「公式は人間が作るのではなく数学的には既に存在していて
ラマヌジャンのような才能に発見されるのを待っている」
原題は「THE MAN WHO KNEW INFINITY」(無限を知った男)
第1次大戦下英国に渡り、数々の数式の定理を解いた
インドの若き天才数学者ラマヌジャンと
彼を見出したケンブリッジ大学の数学者G.H.ハーディとの
友情と業績を描いた実話に基づいた伝記ドラマ
私は世界一頭がいい国民はインド人だと思っています
数学に強く、語学力に長け、歌って踊れてユーモアのセンスもある
そこらの商店のおっちゃんが高度な暗算をし
ホームレスの幼い子どもでも英語を喋る
それが上層階級にもなると、教育レベルはかなり高いといいます
なのにラマヌジャンのような天才がなかなか出てこない
それはインドの生活環境に影響されているということが
この作品を見てわかります
シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの生い立ちや
どうして数学にのめり込むようになったのかは
ウィキペディアを読んでもらうことにして(笑)
嫁と姑が外国に行くことは禁じられていると
村八分にされると強く反対するのですね
それでもラマヌジャンの功績が英国で認められた時
彼は村の誇りになるわけですが
今度は嫁がラマヌジャンと暮らすためケンブリッジに行こうとすると
嫁が行ったら息子は二度と故郷に帰ってこない
嫁が書いた手紙を投函したふりをしてすべて隠してしまうのです
一方ケンブリッジで、ラマヌジャンはとてつもない苦労をしていました
本人も数式は「祈りの時に女神が舌に数式を置いていく」というくらい
無神論者のハーディにとっては、なんの根拠もなく
超難問の答えを見つけてしまうということ
しかもラマヌジャン以外はその数式があっているのか
正しいのか誰もわからない(笑)
実は宗教の世界でも数学はよく使われていて
古代ギリシアでは、記号や表記の中で数学を使っていたし
インドを起源とする仏教の曼荼羅図は無限を表現しており
何もない”無”から0を発見している
なのでラマルジャンの数学感にも、彼の宗教が強くかかわっているのです
ハーディはそれを証明する必要があると説明するのですが
ラマヌジャンは答えがわかっているのに
なぜ証明しなければいけないのかわからない
おまけにインド人ということと、学歴がないことで差別を受け
菜食主義者なので大学内で食べるものがなく自炊するしかありません
そこに戦争が勃発し食料不足、しかも研究にのめり込むあまり
極度の栄養不足で結核を患ってしまいます
ラマヌジャンが倒れ、ハーディと彼の良き理解者リトルウッドは
皆が反対するなか、ラマヌジャンをフェロー(特別研究員)に
しようと途力します
ラマヌジャンの研究の成果に、ついにケンブリッジでも
彼の才能を認めざる得なくなる
だけどケンブリッジはラマヌジャンをフェローにして正解だよ
純粋数学のことは全く知らないけれど、もしそうしていなかったら
その後何百年も「ケンブリッジは馬鹿の集まりだ」と
言われ続けた汚点になったことは間違いない
天才として、フェローとして認められ
ラマヌジャンは愛する妻の待つ故郷に帰ることにします
ハーディとの再会を約束して
だけどケンブリッジに戻ってくると約束した1年後
ハーディに届いたのはラマヌジャンの訃報でした
享年32歳
せめて最後の一年が、ラマヌジャンと妻にとって
幸せなものであったと祈りたい
正直映画として悪くはないけれど、特別感動するものでもない
だけど「数学なんか勉強して社会でなんの役に立つんだ」ではなく(笑)
数学学者にとって、数式は夢の魔法のワンダーランド
その答えを追い求めることは、どんなアトラクションより
刺激的で夢中になるものだということはわかりました
ラマヌジャンが26歳までに発見した定理について
その後多くの数学者によって証明が行われ、作業が完了したのは
80年以上経過した1997年
彼の残した「ノートブック」と「失われたノートブック」の
全文が出版されたのは2018年
この無知な母親がいなければ
ラマヌジャンはもっと偉業を残したのだろうけれど
きっと神様が許さなかったのでしょう
【解説】KINENOTEより
インドの天才数学者ラマヌジャンと、彼を見出した英国人数学者G.H.ハーディの友情と業績を描写した伝記ドラマ。一通の手紙から天賦の才を感じたハーディは、インドに住む差出人ラマヌジャンを大学に招聘。やがて二人は世界を変えるような数式を導き出す。ロバート・カニーゲルによる評伝『無限の天才 夭折の数学者・ラマヌジャン』を、新鋭マシュー・ブラウン監督が映画化。出演は「スラムドッグ$ミリオネア」のデヴ・パテル、「リスボンに誘われて」のジェレミー・アイアンズほか。映画作品として初めて、ケンブリッジ大学を構成するカレッジの中でも最高峰のトリニティ・カレッジで撮影された。
1914年。イギリスの名門ケンブリッジ大学の数学者G.H.ハーディ教授(ジェレミー・アイアンズ)のもとに、一通の手紙が届く。インドからはるばる送られてきたその手紙には驚くべき定理が書かれており、ハーディは差出人を大学に招聘する。その差出人ラマヌジャン(デヴ・パテル)は、インドで事務員として働く傍ら、独学で数学の研究をしていた。他の教授たちは、身分が低く学歴もない彼を拒絶。ラマヌジャンは孤独と過労が重なり、ついに重い病に。ハーディは彼の代わりに奇蹟の証明に立ち上がる。