原題はフランス語で「REBELLE」
国賊や反逆者、反抗という意味があるそうです
紛争の絶えないコンゴ民主共和国
日本のメディアは芸能人の些細な失言とかは
大きく取り上げてバッシングするくせに
アフリカで今も起こっている大虐殺はまず報道しない
私も日常生活で些細なことにイライラするくせに
世界で起こっている大きな問題に目を向けることはあまりない
でもこういう作品を見ると、自分の恵まれた環境に感謝して
もっと正しい生き方をしなければいけないと改めて思います
12歳になる少女、コモナは反政府軍に拉致され
両親を殺すように強要されます
代わりに銃を親だと思えと与えられ、重労働に耐え
幻覚を見せる木の樹液によって薬漬けにさせられてしまう
つまり、なんの知識も思想もなく少年兵にされてしまうのです
従わなければ殺されてしまう、それだけ
生きていくためには常に諦め、無駄な感情はなくなる
ただコモナには敵兵を見つけるという才能がありました
そのせいで仲間から”魔女”と呼ばれ、ボスからも認められ
特別な銃をもらうことができます
しかしアルビノの少年兵で魔術師でもあるマジシャンは
このままでは殺されると予言しコモナを連れて逃げます
そしてコモナと結婚するために白い雄鶏を探すのです
戦争映画なんだけど、スピリチュアルでファンタジック
カメラの構図や色彩感覚も見事
残酷だとか、可哀そうだとかいう気持ちは
ヒロインたちと同じように麻痺してしまうのです
それでもマジシャンとのつかの間の結婚生活は
キラキラして幸せでした
きっとマジシャンの子を授かったのだと思った
でも違った
目の前でマジシャンを殺され、再び拉致されてしまう
そしてゲリラの部隊長の女にさせられるのです
目の前にある現実を受け入れ従う
実際上司に気に入られるのはこういう人間ですが(苦笑)
コモナは出産を前に逃げ出そうとします
その方法というのが刃物を仕込んだ果物を股間に入れるというもので
アフリカの女性はこうやって男性に復讐するのか(笑)
当然男性のアソコは血だらけになるわけですが、女性のほうも命がけ
なんとか「肉屋」のおじさんの家にたどりつくものの
両親の亡霊と、悪夢に悩まされます
そして解決には両親を埋葬するしかないと
ひとり故郷の村に向かうのです
14歳で何の知識もないのに(アフリカではあたりまえかも知れないけど)
森でひとりで出産しちゃうなんて女性の本能って凄い
へその緒とかどうやって処理するんだろう
出産を終え、両親の遺品を埋葬したコモナに
トラックの運転手が「乗っていきなよ」と声をかけてくれました
荷台では知らないおばさんが赤ちゃんを抱っこしてくれました
ほんの少しの時間でも、ささやかな幸せはある
コモナは深い眠りにつきます
カナダ映画の特徴って、問題について一方的に悪く描いたり
ご都合主義に解決したりはせずに
なぜそうなったのかを考えさせ(紛争ダイヤモンド)
その先にも物語が続くことを教えてくれる
コモナと赤ちゃんはこれから先、平和に暮らせるのでしょうか
その可能性はゼロに近いと思います
【解説】allcinemaより
これが長編4作目となるカナダ人監督キム・グエンが、アフリカの少年兵問題を背景にコンゴで撮り上げ、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた異色の戦争ドラマ。反政府軍によって無理やり兵士にさせられた少女が辿る壮絶な運命を、過酷な現実描写の中にリリカルな幻想的映像を織り交ぜ描き出す。主演は本作の演技でみごとベルリン国際映画祭女優賞に輝いた新人、ラシェル・ムワンザ。
紛争の続くアフリカ、コンゴ民主共和国。平穏に暮らしていた12歳の少女コモナの村も反政府軍の襲撃を受けてしまう。さらにコモナは兵士として拉致され、その際、自らの手で両親を銃殺することも強要される羽目に。やがて兵士となった彼女は、戦闘中に亡霊に導かれて窮地を脱する。亡霊が見えるコモナは、ボスからも“魔女”と崇められるようになった。そして、ある時コモナは、彼女に想いを寄せる少年マジシャンと2人で逃亡を図るが…。