チップス先生さようなら(1939)

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原題も「GOODBYE MR. CHIPS」
ジェームズ・ヒルトンの原作は中学生の時読んだことがあります
モデルとなった学校はケンブリッジのレイズ・スクール

ロバート・ドーナットは同年公開された「風と共に去りぬ」の
クラークゲーブルを抑えてのアカデミー賞受賞
確かに当時34歳のドーナット25歳から83歳までを
違和感なく演じたのは確かに見事
ただ身体が弱かったということで多くの主演作を残せなかったそうです

市川崑監督の妻で、脚本家の和田夏十(なっと)が
ドーナットのファンでこのペンネームをつけたのも有名な話

 

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1928年のイギリス、83歳になるチッピング先生は
すでにパブリックスクールの教師を退職していましたが
始業式に出席しようとしていました

だけど風邪のために医者から止められてしまい
暖炉の前で暖まりながら、寝てしまします
そして、過ぎ去った日々が回想シーンとして
彼の脳裏に去来するのです

いわば教師物の先駆けですが、情熱と熱血で
名門校の古いしきたりを変えていこうというものではなく(笑)
チッピングのほうがよほど堅物で時代に取り残されたような人物
生徒から尊敬されているわけでなく、出世からも見放されている
同僚のシュテフェル(ポール・ヘンリード)はそんなチッピングを
休暇をオーストリアで旅して過ごそうと誘います

 

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山登りで遭難しそうになったチッピングは
山中でキャサリングリア・ガースン)と出会い
娘のように年の離れた彼女に恋してしまいます
そして結婚します

美人の嫁を貰ったというだけで、学校でのチッピングへの評価は激変(笑)
同僚たちも、生徒達からも、一目置かれ
チップスも人情味ある教師に変わっていくのです
(チップスはキャサリンがチッピングを呼ぶときの愛称)
しかし愛するキャサリンとの幸せな生活は長く続きませんでした

 

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しかも普仏戦争、南ア戦争(ボーア戦争)、第一次世界大戦
卒業した子どもたちが次々と出征して行く
そして帰ってこない辛さと寂しさ
彼は子どもたちひとりひとりに、本当の息子へのような愛を向け
毎週日曜には必ず名誉戦死者名簿を読み上げる

少年時代のコリー1世から4世を1人4役で
クローンのように何であろうとでてくるのが面白い(笑)

死の床で身寄りのないチップスを憐れむ見舞客
だけど彼は呟きます
「子供はいたよ 何千人も 何千人もの子供たちがみんな私の息子なんだ」

 

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教師としての天職を全うできたことは
チップスにとって何より幸せなこと
そしてキャサリンと赤ちゃんが待つ天国を
きっと神様は用意してくれていると思います