ヒンデンブルグ(1975)

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私的にはヒンデンブルク号爆発事故といえば
レッド・ツェッペリンのデビューアルバム
レッド・ツェッペリン I」(1969)の
ジャケットしか思いつかないのですが(笑)

レッド・ツェッペリンとは
「落ちる風船(つまり失敗)」を意味する「鉛の風船(lead balloon)」を
大事故を起こしたヒンデンブルク号の「ツェッペリン」に
置き換えた軽いジョークから生まれた名前
デビュー前はまさかこんなビックバンドになるとは
誰も思っていなかったのかもしれません

 

ヒンデンブルク号の事故の原因は不明で
外皮塗料に帯電しスパークによって水素が爆発した
というのが通説となっているようですが

本作はナチスに対する反対勢力が仕掛けた爆破事件というパニック映画
「大地震」「エアポート'75」「タワーリング・インフェルノ」など
パニック映画の全盛期で同年公開ですが
「パニックシーンが安上がり」と(笑)低評価だったそうです

 

確かに昔のアメリカ映画の、ドイツ人もフランス人もイタリア人も
全員英語で異国感ないのあるあるは今の感覚からすると微妙ですが
私は面白いと思いますよ
さすがロバート・ワイズ先生は見せ方を知っている

 

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1937年5月、ナチス・ドイツゲルマン民族
優秀性のシンボルとして建造した大飛行船ヒンデンブルグ号は
フランクフルトからニュージャージー州に向かうことになります
しかしミルウォーキーに住む女性占い師が
ヒンデンブルグが時限爆弾によってアメリカ上空で爆破する」と予言

表面的には誰も信じなかったものの、ゲッペルスの命令で
ドイツ空軍のリッター大佐(ジョージ・C・スコット)が
ヒンデンブルグに乗り込み、爆破犯を探すことになります

 

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フォン・シャルニック伯爵夫人(アン・バンクロフト
クロバット曲芸師ジョセフ・スパ(ロバート・クラリー)
ブロードウェイの作曲家のチャニングと夫人のベス
アメリカの広告代理店の重役エドワード・ダグラス(ギグ・ヤング
同じくアメリカの貿易商アルバート・ブレスローとその一家
イギリス陸軍少佐アール・ナピアと友人エミリオ
誰もが容疑者

そしてフォーゲル(ロイ・シネス)という船専属のカメラマンが
ゲシュタポであることもリッター見抜きます

 

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しかし乗務員である一等系士ベルト(ウィリアム・アザートン)の
恋人のフリーダがゲシュタポに逮捕されたことで
ベルトが犯人だと気づくのです

だけどベルトはヒンデンブルグを爆破するのは
ヒトラーを示すものであり
すべての乗員乗客が避難してからだという
時限爆弾の場所を知らないリッターは彼に従うしかない

なのに悪運は重なり、悪天候により着陸は大幅に遅れます
ベルトが時限爆弾を切ろうとしたその時
フォーゲルに見つかり拷問を受けてしまいます

どうにかリッターがベルトを見つけ、時限爆弾の場所を聞き出すものの
解除しようとしたその時、またもやフォーゲルの邪魔が入ってしまう

 

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そこからは実際の映像を利用した方法のモノクロ映像
轟然たる爆発、乗客を襲ったパニック
巨大な飛行船が火柱をあげ、残骸になるまでの時間は僅か34秒
(乗り込んでいた97名のうち)乗客13名、乗務員22名
そして地上で作業していた整備員1名が命を落とします

スタッフ、キャストともビッグネームですし
第二次世界大戦前当時の、時代背景もわかりやすい
一方的にナチスを批判したり笑い者にするのではなく
ドイツの変貌に対する哀しみと失望

 

しかも公開当時に、このビッグな飛行船をスクリーンで見たなら
相当なインパクトだったのではないでしょうか
のちの「スタートレック」(1979)にも繋がったと思います

 

一応ここまで書いてみたけど(笑)
やっぱりヒンデンブルク号といえば
レッド・ツェッペリン I」しか思い浮かばないのだけどね

 


【解説】allcinemaより
1937年5月6日、ドイツの誇る巨大飛行船ヒンデンブルグが米ニュージャージー州レイクハースト上空で大爆発を起こした。未だに真相の判明しないこの事故を、パニック映画のブームに乗せて、大胆な推理で構成したサスペンス・スリラー。クライマックスの爆発炎上シーンは当時のニュースフィルムと新撮のシーンを巧みに編集し臨場感を出している。雲海を優雅に舞うヒンデンブルグの雄姿と、D・シャイアの奏でるゆったりしたメロディも印象的。