デイジー・ミラー(1974)



原作は「ねじの回転」や「ある貴婦人の肖像」で有名な


アメリカ人でありながら、晩年にイギリスに帰化するという経歴を持

1940年に発刊された本作は、日本でも多く読まれてきたそうです




無邪気で天真爛漫な美女に振り回される

育ちのいいおぼっちゃんの話というのは

いかにも文学的ですが


時代が変わっても、世間を知らない男がたぶらかすのには

この手の女性がいちばん有効なのかも知れません

(例=英国王室)




19世紀のスイス、ジュネーブの湖畔にあるホテルに

叔母に会いに来たアメリカ人の青年フレデリック

同じアメリカ人の少年ランドルフ(かなりの悪ガキ)と知り合います


そしてランドルフの姉であるデイジー・ミラーの美しさに

すっかり魅せられてしまうのです




デイジー・ミラーも男たちが自分の虜になることを知っていて

すぐ気が変わるし、自分勝手な行動ばかり、男たちを振り回します


上流社会の年配の女性たちは、そんな彼女の行動を

下品だ、ふしだらだ、軽率だと嘆きます




だけど女性から見たらどんなに奔放でも

男性にしたら天真爛漫で無邪気なだけ(笑)


父親がアメリカに残り、母親と子どもたちだけが欧州住まいなのも

この面倒な母子と一緒に暮らすのが無理だから




でも、カトリックとかそういう理由で離婚できない

そんなお金だけで何でも物事を解決してきた環境が

さらに子どもたちの性格を歪ませたのです


ちなみにいかにも解説みたいなこと書いていますが

原作は読んでいません(笑)




フレデリックはデイジー・ミラーがイタリア人男性とデートするたび

ふたりの関係が気にかかり、婚約したのではないかと不安になる

周囲からいくら「別れなさい」と言われても

何とかデイジー・ミラーの力になろうとします


実際、デイジー・ミラーはイタリア人男性と

性愛的にまじりあってるわけでなく(キスはした)

ただ夜外出したり、にエスコートしてもらうだけ




それもフレデリックが上流社会の味方にもついて

はっきりとした態度をとらないから

やさしいだけの男にも、女はイライラするのです


だけどあっけなくデイジー・ミラーは

マラリアに感染して死んでしまいます




やっぱり私はイギリス文学(の映画化)が苦手だなあ

ジェーン・オースティンもだけど、新しい時代の女性像が

美貌がなければ恋愛が成立しない

そんなタイプの性格醜悪女にしか見えない

しかも会話で物語が成立していくので、お喋りがやかまし

でもこういう女性に嫌われる女性が、男性からモテるのは確かな真実




ボグダノヴィッチ監督はシビルに相当惚れていたそうで(笑)
自己投影もあったのかも知れません