バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015)



映画のストーーリーも、主人公の人格も
なんの捻りもない、わかりやすさ100%のど真ん中ストレート
だけどこれがジャストミート、場外ホームランなんだな


まずは冒頭のパキスタンの美しい山岳地帯で
ハイジのごとく子羊と戯れる女の子
シャヒーダーの愛らしさにノックアウト



母親は口がきけないシャヒーダーを連れて

インドのデリーにある、どんな願いも叶うというイスラム寺院

ニザームッディーン廟に願掛けにやってきました


しかしその帰り道、動き出した列車に置き去りにされ

シャヒーダーはひとりインドに取り残されてしまいます

貨物列車を乗り継いでいった先で偶然に出会ったのは

ヒンドゥー教ハヌマーン神の熱烈な信者、パワンでした




圧倒的陽気で、お祭りみたいなダンスシーン
悲しんでる暇はございません(笑)


バカがつくくらいお人好しで正直者のパワンは
婚約者ラスィカー(小林幸子似)の家に
ムンニー(シャヒーダー)を預かってもらい
彼女の両親を探そうとします



匂いに誘われ近所の家で鶏肉を食べるムンニー
そして街中のモスクでサラート(礼拝)を行う彼女に
パワンは彼女がムスリムであると気が付きます
そしてクリケットの試合の応援で、パキスタン人だとわかりました

インドとパキスタンは、宗教も文化も違い
長い間、対立してきた歴史をもちます
インド人にとってパキスタン人は「異教徒」で「敵国の人間」



ムンニーを、パキスタンに戻そうとするものの
喋れないためにビザの申請もできません
密入国させようと仲介を訪れれば、売春宿に売られそうになり
パワンは自らの手でムンニーを両親に送り届ける決意をします


しかしパワンの決して信仰に逆らうことが許せない

しかも「嘘が付けない」性格が災いし

パキスタンではスパイと間違えられ

さまざまなトラブルに巻き込まれてしまいます




それでも「迷子の女の子を助けたい」というパワンの想いは

国境を越えて人々の心を動かし

パワンはムスリムの寛大さを知り

パキスタンの人々はパワンの誠実さに尽くそうとします


最初はモスクに足を踏み入れることすら嫌がっていたパワン
だけどニカブ(女性の全身を覆う黒いベール)で
逃亡するハメにまでなるとは(笑)




実は多くの人間は、憎しみあうことにいいかげん
飽き飽きしているのです
お互いの文化や宗教は尊重し、認め合うべきのもの
国や宗教が違っても、人間の優しさは共通なのだから


ムンニーは無事に家に帰ることができました
今度はパワンをインドに帰すため
大勢のパキスタン人が国境に集まります
その中にはムンニーの姿もありました



ネタバレしようが、しまいが
最初から完璧にオチはわかります(笑)
ここで喋れない少女が喋るんだな、と


彼女が喋るのは「おじさん」「ラーマ万歳!」のたったふたこと
でもその短い言葉に

ものすごく、ものすごく

ものすごい大きな愛が詰まっていて




思わず世界規模で平和まで祈ってしまうのです(笑)

やっぱりインド映画のパワーってすごい

明るくて前向きな気持ちになれます


政治家や権力者は憎しみや競争ばかり作ろうとするけれど

映画は愛と平和を作ることができる




劇場が明るくなると、涙ぐむ女性の姿が多数

単純だからこそ素直に泣ける感動作


ただ、やっぱり長いですね

うっかりコーヒーなんかを飲みすぎないよう

そこは気を使いました(笑)




【解説】シネマトゥディより

インド人の青年が、迷子のパキスタン人の少女を親元に送り届けるため旅に出る姿を描いた人間ドラマ。『ダバング大胆不敵』などのサルマーン・カーンが主演を務め、およそ5,000人のオーディションから選ばれた子役のハルシャーリー・マルホートラ、『きっと、うまくいく』などのカリーナ・カプール、『女神は二度微笑む』などのナワーズッディーン・シッディーキーらが共演。『タイガー~伝説のスパイ~』でサルマーンと組んだカビール・カーンがメガホンを取った。

声が出ないパキスタンの少女シャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラ)は、母親とインドのイスラム寺院に願掛けに行った帰り道ではぐれてしまう。ヒンドゥー教徒のパワン(サルマーン・カーン)は迷子の彼女を預かるが、後に少女がイスラム教徒だと知る。対立する両国の現実を背負いつつも、パワンは国境を越え少女を親元に送り届けようとする。