人生、ブラボー!(2011)


原題の「STARBUCK」とはカナダ牛でも有名な種雄牛のことで

80年代から90年代にかけて、多くの優秀な子牛を誕生させ

さらに45ケ国に685,000本の精液が輸出され

精液販売で得た総収入は、25000万ドル(207億円強)にもなり

生涯を通じてのその高い人気を維持したそうです

 

その種牛に例えて「スターバック」と名乗るダヴィッド・ウォズニアクは

二十歳の時お金欲しさに693回の精子提供をしました

 

そして42歳になったダヴィッド

ケベックにある父親の精肉店で働いていますがロクな仕事はできず

しかも8万ドル借金に困り果て、家の中で大麻の栽培するダメ男で

そのうえ彼女を妊娠させてしまう

 

そんなある日、弁護士を名乗る男が部屋に現れ

ダヴィッドが提供した精子から

533人の赤ちゃん(スターバック・チルドレン)が産まれ

そのうちの142人から父親に会いたいという

集団訴訟を起こされていると伝えに来ます

 

困ったダヴィッドは、友人のアボカットに相談

これは歴史的な裁判になるとアボカットは意欲を見せ

裁判では心神喪失を主張するといいます

 

手に入れた142人のプロフィールから1枚だけ引いてみるダヴィッド

それは応援するプロサッカーチームの花形選手でした

彼の決めたゴールに大喜びしたダヴィッドは

自分の遺伝子はこんなにスゴいのかと

いきなり父性に目覚めてしまいます

 

1枚、また1枚と情報が書かれた書類を取り出し
ひとりひとりに会いに行く

薬物中毒、路上ミュージシャン、俳優の卵、水泳の監視員

ネイリスト、(自称養父になる)障がい者ツアーガイド

バイの青年ビジュアル系・・・

 

彼らを見守り、彼らの目指すものを肯定し、応援する

やがて自分が父親だと名乗り出たいという気持ちも芽生えてきます

 

しかし集団訴訟がマスコミにバレ、大々的に「変態」と報道され

借金返済の為にも、逆告訴するしかありませんでした

そして勝訴します

 

未婚で妊娠を望む女性や、不妊治療治療に対する

生殖医療の分野についてはわかりませんが

若い男性がお金欲しさのためだけに

精子提供してしまう危険性は大いにあると思います

 

ある意味、時間が余った時に粗品欲しさに献血するのと同じ感覚で

自分の血液によって助かる命があるのかも知れないけれど

それが誰か知らないし、知ろうとも思わない

 

ダヴィッドも母親を憧れのイタリア旅行に連れて行ってあげたい

そのために手早く簡単にお小遣いが稼いだだけだった

その先に産まれる命のことなんて考えても見ない

提供精子問題は実際に多々あるでしょう

 

父親がお店の相続分のお金を作って

ダヴィッドに渡すエピソードには心温まります

ダヴィッドは父親の存在がいかに大きいものかに気が付きます

そして142人のスターバック・チルドレン にも父親が必要なのです

 

映画はコメディでハッピーエンド

彼女の出産を祝いに、病院にやってきた大勢の子ども達

ダヴィッドは父親だと名乗り、ひとりずつにハグしていきました

 
 
しかし実際に自分が見ず知らずの男から提供された試験管ベイビーだと

知った時のショックは計り知れないものだったでしょう

実話ベースということですが、このように異母兄弟姉妹が交流を深め

遺伝子上の父親も父親と認めたのなら、それは凄いことだと思います

 


【解説】allcinemaより

若い頃にバイト気分で行った精子提供のせいである日突然、142人もの子どもたちから身元開示の裁判を起こされたダメダメ独身男の混乱と心の成長を笑いと感動で綴るカナダ発のハートウォーミング・コメディ。各地の映画祭で評判を呼び、ハリウッドでの英語リメイクも実現。主演はコメディアンや俳優としてのみならずマルチに活躍するカナダの才人、パトリック・ユアール。監督は「大いなる休暇」の脚本で知られ、監督としてはこれが2作目のケン・スコット。
 父親の精肉店を手伝う42歳の独身男、ダヴィッド。気ままでだらしない生活を送る彼は、膨らんだ借金の取り立てに追われ、妊娠が判明した恋人にも愛想を尽かされる始末。そんなある日、彼がかつて行っていた精子提供のバイトによって533人もの子どもが生まれていたことが判明、そのうちの142人から身元開示の裁判を起こされてしまう。友人の弁護士に泣きつき、なんとか逃げ切ろうとするダヴィッド。ところが、その子どもたちの中に彼が応援するサッカー・チームのスター選手の名前を発見した彼は、急に自分の遺伝子上の子どもたちに興味を持ち始める。そして自分が父親であることを隠して彼らへの逆訪問を開始してしまうダヴィッドだったが…。