ギリシャに消えた嘘(2014)



60年代のギリシャトルコが舞台の殺人ミステリー

キルステンがキム・ノヴァクやティッピー・ヘドレン
を彷彿させる金髪にしていたこともあって
最初はヒッチコック風に思えましたが
中盤からは失速して
たいしたどんでん返しもなく
ただ堕ちて行く3人の人間模様



これはヒッチコック風にするよりも
太陽がいっぱい(1960)風にするべきだったと思います
パトリシア・ハイスミスの原作は未読ですが
同性愛的要素があったのではないでしょうか

なんといっても、ヴィゴ・モーテンセンの色気が半端ない()
キルステンは美人妻役だけど、相変わらず美人とは言えないわ(お前もな)


観光ガイドのライダル(オスカー・アイザック)は
パルテノン神殿で、アメリカからやって来たチェスター(モーテンセン)と
彼の妻であるコレットキルステン・ダンスト)と知り合います
ガイドを頼まれたライダルは、ふたりと親しくなります

しかしチェスターは実は裕福な実業家ではなく
投資詐欺で大金を奪い逃亡中だったのです
追ってきた探偵を殺害し、ライダルに嘘をつき助けを頼みます
ライダルは偽造パスポートを知人に頼み
クレタ島で受け取ることにしました



クレタ島でに着き、ライダルはニュースで
チェスターが探偵を殺したと知ります
チェスターに自首をすすめるも、自分も逃亡を助けた共犯者
後戻りができません

そのうえコレットとライダルの仲を疑いはじめたチェスターは
だんだんと粗暴になっていくのです



チェスターとライダルは正反対

チェスターの父は貧しいトラック運転手だったという
チェスターは野心家で投資で成り上
やがて詐欺を働くようになったのでしょう

一方のライダルの父はハーバード大の教授
ライダルは幼い頃から様々な言語を教えられ
今では何か国語も話せるインテリ
イェール大卒の、親に反発し気ままに生きてるお坊ちゃま



チェスターは、そんなライダルをライバル視
自分にコンプレックスがあり、あいつの経歴は嘘だとか金目当てだとか

嫉妬に取りつかれ、妻の前でこき下ろします

不機嫌な夫に最初は我慢するものの段々イラつ

事件の真実を知った時には完全に夫のことが信用できなくなり
純真なライダルのほうに気持ちがなびいていくコレット

こんな3人で長く結託できるはずがありません
誰が一抜けするか
ただコレットが不憫で、チェスターもライダルも逃げなかった



そのコレットが遺跡で転落死
チェスターはひとり、トルコのイスタンブールにたどり着きます

それでも最後に「ライダルは無関係」と言い残したことと
ライダルが(コレットではなく)チェスターの墓を訪れたことは
やっぱりこれは同性愛の物語でないのかと思ってしまうわけです


正直サスペンスとしてはイマイチでしたが(笑)

白いスーツが似合う男は、いい男の証
ヴィゴ・モーテンセンが好きな方には絶対オススメです



【解説】allcinemaより

 「太陽がいっぱい」「見知らぬ乗客」の原作者パトリシア・ハイスミスの『殺意の迷宮』をヴィゴ・モーテンセンキルステン・ダンストオスカー・アイザックの共演で映画化した心理サスペンス。ギリシャの美しい風景をバックに、詐欺師夫婦と、そうとは知らずに彼らに手を貸してしまった青年が繰り広げる危うい逃避行の行方を、愛憎まみえる三者心理的相克を織り交ぜ描き出す。監督は「日蔭のふたり」「ドライヴ」などの脚本を手がけ、本作が長編初監督となるホセイン・アミニ
 1962年、ギリシャアテネ。ツアーガイドをしているアメリカ人青年ライダルは、エレガントなアメリカ人紳士チェスターと年の離れた美貌の妻コレットと知り合う。彼らのガイドを務め、夕食も共にしてすっかり打ち解けるライダル。ところがその夜、夫婦の宿泊するホテルに一人の探偵が現われ、チェスターはもみ合いの末に探偵を殺害してしまう。実はチェスターは、投資家を騙して大金を奪った詐欺師だったのだ。彼は忘れ物を届けようと偶然ホテルに舞い戻ったライダルに嘘をつき、逃亡の手助けを要請する。そこでライダルは偽造パスポートの手配をし、3人で受け取り場所のクレタ島へと向かうのだったが…。