キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002)

「できるものなら捕まえてみろ」とは鬼ごっこの掛け声のこと
日本でいう「鬼さんこちら」
 
 
以前NHKBSで放映していた、
アメリカの俳優・映画監督にインタビューするトーク番組
ゲストで招かれた時
 
主人公フランク・アバグネイルが詐欺師になったのと同じ16歳の時
自分も映画監督の道への情熱を抑えきれなく
毎朝ユニバーサル・スタジオスーツ姿空っぽのカバンを持ち
門の守衛にもっともらしく挨拶をして撮影所の中に入り
関係者のふりをして撮影場所を回り顔を覚えてもらったのだそうです
「あの時の私はまるでアバグネイルだった」と語っていました
 

作風的にはロバート・ゼメキスが監督した方が
もっと面白くなった気もしますが()
スピルバーグ的には、自分が監督せずにはいられなかったのでしょう
 
そのうえスピルバーグが大ファンである、007のパロディまで満載()
レオが映画館で見ているのは「ゴールド・フィンガー」(1964)
アストン・マーチンも登場します()
 

物語は1963年のニューヨーク、ブロンクスヴィルから始まります
地元名士の集まりで喝采を浴びる父(クリストファー・ウォーケン)
父は若いころ駐留したフランスで、村一番の美女だった
(ナタリー・バイ)と結ばれた話を息子にするのが好きでした
高校生のフランク(レオナルド・ディカプリオ)

そんな父親が大好きで誇りに思っていました

しかしある日突然幸せな家庭が、事業の失敗であっという間に崩壊します

家を売り小さなアパートに引っ越し、有名校から地元の公立高校へ転校
すぐさま「いじめ」に逢うフランク
 
それをなんと自分はフランス語の臨時講師だと偽り
きっちり授業を行い宿題まで出していたというのです
 

いちど本を読んだだけで、話を聞いただけで
記憶して、モノにできる天才なのでしょう
そのうえ相手を褒めて、幸せな気持ちにさせてあげる才能がある
しかも全く嘘偽がないように見えてしまうのです
 
両親の離婚をきっかけに、フランクは家出をします
そして客室乗務員に囲まれたパイロットの姿を一目見た時
副操縦士として身分を偽る決心をします
さらに父親から誕生日にプレゼントされた小切手をヒントに
小切手偽造をしていくようになります
 

酷評も多いようですが、私は面白かったです
その理由は私は頭の良い人が好きだからだと思います
「どういう男性が好き」と質問された時
「頭の良い人」と答えるとドン引きされる時もありますが()
あれほどの犯罪を犯したテッド・バンディ
逮捕後も女性からモテたのが理解できる気がします
 
フランクも魅力的な犯罪者
騙されて婚約までした女の子は可哀そうだったけど
そこから逃亡するマイアミ国際空港のシーンはいい
講演で体験学習だと美人女子大生を掻き集め
客室乗務員の扮装をさせお得意のパイロットを気取りながら
堂々と飛行機に乗って逃げ切る
 

最後の最後までフランクの鮮やかな手口に出し抜かれる
FBI捜査官カール・ハンラティ(トム・ハンクス
だけどいつしかふたりの間には、奇妙な信頼関係が生まれていました
 
誰も死人が出なかったのも良かったです
ただ、フランスの巨大印刷所は大がかりすぎて余計だったかな()
やはりチマチマ手作業のほうがリアルでよろしい
 

カール・ハンラティのほうは架空の人物で
フランクの司法試験合格も2週間ではなく
8週間勉強したということです(どっちにしてもスゴイけど)
 
10代にして400万ドルという詐欺を働いたにもかかわらず
出所後は金融詐欺コンサルタント会社の経営者となり
偽造防止小切手を発明
今では数百万ドルの報酬を稼ぐようになったという
成功者
 

でもそんな彼は
 
「私は天才ではない、なぜなら本当の天才ならば
法律を破らなくても、もっと上手に生きていけたはずだからだ」
 
と、答えているそうです
 

 
 
「どれだけの問題を
抱えていたとしても
その問題にちゃんと責任をとれば
世界は何度でも私たちに
やり直すことを許してくれる
私たちはそういう
素晴らしい世界に生きているんだよ
 
 
 
「人に頼ることをやめなさい
警察に頼ってはいけません
政府に頼ってもいけません
銀行に頼るなどもってのほかです
 
世界はあなたを守るために
存在するのではありません
あなたを守るのはあなたの役目です
 
フランクアバグネイル言葉
 

 
【解説】allcinemaより

ヒット・メーカー、スティーヴン・スピルバーグ監督がハリウッドのトップ・スター2人を起用して撮り上げた実録犯罪コメディ。60年代、FBIを手玉にとって世間を騒がせた実在の天才詐欺師フランク・W・アバグネイルと彼を執拗に追う捜査官との追跡劇を軽妙なタッチで描く。原作は、現在FBIのアドバイザーとして活躍するフランク・W・アバグネイル本人とスタン・レディングによる同名自叙伝。
 高校生のフランク・W・アバグネイルは尊敬する父が母と離婚すると聞き、ショックで衝動的に家を飛び出してしまう。そして、生活のため偽造小切手の詐欺を始めるようになる。最初はなかなかうまくいかなかったが、大手航空会社のパイロットに成りすますと誰もがもののみごとに騙された。これに味をしめたフランクは小切手の偽造を繰り返し巨額の資金を手に入れるのだった。一方、巨額小切手偽造詐欺事件を捜査していたFBI捜査官カール・ハンラティは、徐々に犯人に迫っていくのだったが…。