旅情(1955)




いつか王子様が・・
デビッド・リーン監督の中年ロマンスの傑作

こういう女性って、真面目で仕事も熱心だったりするけど
男性に対する理想や欲求も高いものですね
自分で気が付いているかどうかわからないけれど
意外と面食いだったりもします

そのせいか、全くといっていいくらい男性と交際経験がないか
年上の既婚者と不倫関係になってしまうことが多い
少なくても私の知ってるヒロインのようなタイプの女性はみんなそうです  



長年秘書としてまじめにだけ勤めてきたアメリカ人女性
ほとんど交際経験がないままアラフォーを迎えてしまったのでしょう
セカンドライフへのほのかな期待を胸に抱きつつ
高級カメラを片手に憧れのヴェニスへ一人旅
はじめのうちは観光気分でいっぱい

到着したホテルのテラスで、2組のカップルとマダムとカクテルを飲む
そのうちカップルもマダムも夕食に出かけてしまい
ジェーンだけが残りひとりぽっち、急に孤独感に襲われてしまいます

ここらへんの女性心理の描き方が非常に繊細で
見ているこちらまで辛くなってきてしまう

着ている服も、露出が少なく妙に可愛らしかったり
彼女が「夢見る乙女」なのがわかります



声をかけてくれるのは、物乞いの少年だけ
それでも彼がいてくれたから、私は救われたと思いますよ
絵葉書やペンくらい買ってやれよ(笑)


でも、ここは「目のまえにあるものを食べればいい」ナンパが文化の国イタリア
女性がひとりで寂しそうなら声をかける男がいるものです
サン・マルコ広場で古物商のレナード(ロッサノ・ブラッツィ)との出会い
18世紀のグラスを熱く語るのはどう見ても胡散臭い(笑)



ジェーンは最初は気のない振りをしたり、メンドクサイ女なのですが
徐々にレナードに惹かれていき、夜の広場で初めてのデート
くちなしの花をプレゼントされます


翌日のデートでは新しいドレスで着飾るジェーン
そこにレナードの息子だと名乗る青年が彼が遅れることを伝えにきます
レナード、息子に伝言頼むなよ(笑)



激しく落ち込むジェーンでしたが、結局はレナードに口説かれ
それから数日間、ブラノの漁村で愛し合います
しかしのまま別れられなくなることを恐れたジェーンは
急に旅立つことを決めるのです

出た!恋愛できない女の「傷つきたくない症候群」
キャサリン・ヘップバーンは相変わらずうまいですねえ



ラストもやはり名シーン
渡せなかったプレゼント、差し出されたくちなしの花


でも、好きな映画かというとそうでもない
それは、いい年になった「夢見る乙女」女性のことを
私があまり好きでないからです

またhisaさんから「べべさんは女性に厳しい」と言われそう(笑)




【解説】allcinemaより
 ベニスに観光で訪れたオールド・ミスのジェーンは、そこでレナートというハンサムな男性と知り合う。彼の案内でベニスを観てまわる内、ジェーンは次第にレナートに淡い恋心を抱いていく。だが、レナートに息子が居ることを知ったジェーンは、自分がからかわれていたと思い込み、ベニスを立ち去る決心をするが……。有名なラスト・シーンが心に染み入る傑作メロドラマ。