ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判(2015)





ソロモンとはイスラエル統一王国3代目の王のこと

ヘブライ語で「平和な人」を意味するそうです



東京のある中学校で起きた、男子生徒柏木卓也(望月歩)の転落死

警察は自殺と断定しますが

学校と第一発見者の藤野涼子藤野涼子)宛てに

柏木君は大出君(清水尋也)とその仲間に殺されたという告発状が届きます


津崎校長小日向文世)はこの告発文を内密に処理しようとしますが

クラス担任である森内先生黒木華に送られてきた告発状が

破られ捨てられていが見つかったことで

マスコミに大々的に取り上げられてしまいます






告発文を送ったのは大出君に虐められていた(暴行を受けていた)

三宅樹里(石井杏奈)と、親友の浅井松子(富田望生

そして学校内外では凶暴な大出君なら

本当に柏木君を殺しかねないという噂になっていました


そんなとき、藤野さんの前に現れたのが名門中学生の神原和彦(板垣瑞生

彼は柏木君と小学校時代、クラスも塾も一緒だったと言います

そして本当に大出君が柏木君を殺した犯人なのか、裁判をしようと

藤野さんにもちかけるのです


前編はそれなりに面白かったです
冒頭の話題である気象予報士は
1990年にはまだ存在していなかったそうですが(笑)

(第一回の国家試験が1994年)






真実を知りたい中学生と、真実を隠そうとする大人たち

小学生低学年くらいまでは、子どもも大人の言うことを聞いて素直

高校生になると大人の気持ちも少しは理解できるようになるでしょう


でも小学校高学年くらいから中学時代って

いちばん大人の都合が許せない時期なのではないのかなと思います

親や教師に介入されず、自分たちのことは自分たちで解決したい

そういう気持ちになってしまうのも、わかるような気がします






「口先の偽善者そういうヤツがいちばん悪質なんだ」


藤野さんと神原君は柏木君のその言葉に悩まされ

心に罪悪感、つっかかりがあります

森内先生もそうでしょう

柏木君が死んだあとも彼に責められている気がしてならないのです

真面目だからこそ、そういう気持ちになってしまうのです


一方、自分を守るためには誰かが傷ついてもかまわない大出君と三宅さん

ふたりともタイプは違いますが

身勝手な親に育てられたという共通点があります

直接手は下さなくても、純粋な松子ちゃんが事故で死んでしまったのも

三宅さんのせいでしょう


私が松子ちゃんの親なら大出君のことも、三宅さんのことも

赦すことは難しいと思います






結局、柏木君は自殺でした



これだけ前後編で前振りが異常に長いわりに

クライマックスは肩透かしでした

時間を返してと言いたい(笑)


第一に柏木君が自殺をした理由が全く描かれていません

大出君に虐めを受けている描写もありませんでしたし

神原君が帰ってしまったから、それで死んだのならあんまりです


これでは柏木君も、森内先生にストーカー行為をする女性も

ただの特異で身勝手で捻くれたキ印なだけ


中学生を演じた子どもたちが熱演こそしているものの

原作の方にちゃんとしたエピソードが書かれているのだとしたら

明らかに映画化の失敗でしょう



ただエンディング曲に「Withor Without You」(U2 1987)を

選んだのだけは、なかなかのセンスだと思いました





【解説】allcinemaより

人気作家・宮部みゆきの同名ベストセラー巨編を「八日目の蝉」「ふしぎな岬の物語」の成島出監督が、前後編の2部作で映画化したミステリー・サスペンス大作。本作はその前編。中学校で起きた男子生徒の転落死をきっかけに、次々と起こる不穏な事件を前に保身に走るだけの無力な大人たちを見限り、生徒たちだけで真相究明の校内裁判を開こうとする中で、学校内にうごめく様々な問題があぶり出されていくさまを描く。主演はオーディションで選ばれ、本作の役名でデビューすることになった新人、藤野涼子
 クリスマスの朝、雪が降り積もった城東第三中学校の校庭で2年A組の生徒・柏木卓也の死体が発見される。警察も学校も飛び降り自殺と判断するが、後日、学校関係者のもとに、柏木の死は自殺ではなく、大出俊次をリーダーとするいじめグループによる殺人だったと訴える匿名の告発状が届く。やがてそれはマスコミにも伝わり、ワイドショーを連日賑わすことに。それでも学校側は穏便に事を収めようと後手を踏むばかりで、事態は悪化の一途を辿っていく。そんな中、事件の第一発見者で2年A組のクラス委員を務める藤野涼子は、大人たちには任せておけないと、自ら真実を暴くべく立ち上がる。そして、全校生徒に対し大出を被告人とする学校内裁判の開廷を提案する藤野だったが…。


人気作家・宮部みゆきの同名ベストセラー巨編を「八日目の蝉」「ふしぎな岬の物語」の成島出監督が、前後編の2部作で映画化したミステリー・サスペンス大作。本作はその後編。ついに始まった中学生だけによる前代未聞の学校内裁判の行方をスリリングに描く。
 クリスマスに謎の死を遂げた城東第三中学校の2年A組生徒・柏木卓也。当初は自殺と思われたその死に対し、いじめグループを率いる問題児・大出俊次による殺人という匿名の告発状がバラまかれ、事態は急展開を見せる。そして2年A組のクラス委員・藤野涼子は、大人たちを排除し、中学生だけで真相究明の学校内裁判を開くことを提案する。やがてそれは様々な困難を乗り越え、ついに実現することに。こうして検事役には藤野涼子、一方の弁護人を他校の生徒・神原和彦が務め、大出俊次を被告人とする学校内裁判が開廷する。白熱した審理が進む中、争点は次第に事件当夜の被告人のアリバイに絞られていくが…。