炎の城(1960)




かねてから邦画のセリフは聞き取りにくい
まして時代劇ともなると人名から地名にいたるまで
外国語のようにチンプンカンプン
邦画でも、ぜひ字幕版を取り入れて欲しいと
当ブログで訴えてきましたが

しばらくamazonプライムビデオで浮気している間に
BSプレミアムでは、ほとんどの邦画が字幕放送になっていました
これはありがたいサービスです
年配の方や聴力障害のある方も、これで邦画が楽しめます

NHKのプロデューサーが
私のブログを読むことはないでしょうが(笑)
本当にありがとうございます





本作は、シェークスピアの「ハムレット」を
東映時代劇風に翻案した
戦国時代の瀬戸内城下での陰謀劇ということ

王見正人ハムレット”(大川橋蔵
六角雪野オフィーリア”(三田佳子
王見時子”(高峰三枝子
叔父、王見師景””(大河内伝次郎
と、原作のキャラクターを和風解釈

倭寇の跋扈、隣国とは戦闘状態
そんなとき明からの留学から帰ってきた正人
しかし父は謎の死を遂げ、叔父である師景が城主となり
母上はそんな叔父と再婚していました

民は、師景の悪政に苦しめられ、一揆を企てています
正人は父の敵をどう取るか、狂人の振りをしながら悩みます





生きるべきか死ぬべきか」の有名なセリフは出てきませんが
主人公がウダウダと悩む姿は
テレビアニメ「機動戦士ガンダム」(1979~1980)
アムロ・レイ君タイプ(わかりやすい)

その彼が自分の心情とか行動を、いちいちセリフで言う姿は
(しかもカメラ目線)ちょっと苦笑してしまいます

そんなふうに「どうしたら~どうしたら~」
「俺はどうしたらよいのだ~」と言っているうちに
(仏様の前で討てばよかったのよ)
農民たちは断崖で処刑されたり、事態はどんどん悪いほうへ

そのうえ自分を信じ慕っていてくれる
雪野の父親を誤って殺してしまい
雪野も入水自殺
ゴジラが水中に引き上げるシーンとダブります)
ついに雪野の兄貴と決闘することになってしまいます





「こっちの酒には毒を入れてある、間違えるなよ」
「こっちの刀には毒を塗ってある、間違えるなよ」とか
笑うシーンでないにもかかわらず、吹き出してしまう()

そして母は自分の罪を責めて自害し

終盤は農民が城に乱入し、炸裂する怒涛のアクション

ラストは大川橋蔵大河内伝次郎
燃え盛る城の中で繰り広げられるふたりの殺陣

そして流れるゴジラのテーマ‼()


原作の「ハムレット」も詳しい内容は知らないのですけれど
このようなエモーショナルな作品なのでしょう

さすがに今見ると、このような作りは
シリアスとギャグぎりぎりのラインですが()

豪華なセットと素晴らしいロケ撮影には
東映時代劇の時代の頂点を感じることができました



【詳細】NHKネットクラブより
瀬戸内海をのぞむ王見城の若君・王見正人。留学先の明から帰国した彼を待ち受けたのは父・勝正の急死だった。叔父の師景が正人の母・時子を妻にして城主となり、悪政によって民を苦しめていることを知った正人は、乱心を装って皆の目を欺き、父の死の真相が師景の謀略であることを追及、敵を討とうとするが…。大川橋蔵主演、名匠・加藤泰監督が、シェークスピアの『ハムレット』を翻案映画化した、スペクタクル時代劇。