ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(2009)





原題は「Luftslottetsom sprängdes」(爆発した空の城)
「雀蜂の巣を蹴った女(娘)」
雀蜂の巣を蹴るとは危険を顧みずにとんでもないことをしでかす
あるいは敵を挑発するという意味慣用表現だそうです
リスベット自ら使う名称が”スズメバチ


頭蓋骨その他に銃弾を受けたリスベット(ノオミ・ラパス
脳天に斧の一撃を受けた父親、ザラ(ゲオルギー・ステイコ)
逃亡した腹違いの兄ニダーマン(ミカエル・スプレイツ)

前半、リスベットは重体で厳重な監視下の元
ほとんど病院のICUにいます

リスベットを救った医師が結構ナイスな男(笑)
れでも過去の悪行がバレる事を恐れた”班”と呼ばれるグループから

リスベットと父親は命を狙われます





この政府公安警察にある秘密組織で特別分析班の
班長でグルベリという男がリスベットとザラの事件を知り
班のメンバーを招集して関係者の抹殺を企てる展開は
私的には好みです

若い頃から権力を利用してさんざん悪事をやらかしてきた爺
しかしどこの国もこういう爺が有力者であるのは事実
明日、老衰か心臓発作で死ぬかもしれないお年頃なのに
まだまだ欲深いのです


もちろんあらゆる情報を探る「ミレニアム」も排除対象になります
エリカはブラックメールを受け取り、自宅のガラスが割られてしまいます
銃撃にさらされパニック状態、記事は出版しないとまで言い出します
意外とミカエルが男らしく、結構戦えるところをみせてくれます

グルベリがザラを殺した後
リスベットの部屋へ入ることができないとわかると
拳銃で頭を撃ち抜いて自殺したのは強引でした
公安ならもっと綿密な計画をたてろよと思います(笑)
父の死を知った時のリスベットの表情は見所





後半はリスベットの2作目での3人の殺人容疑と
彼女の精神鑑定を巡る裁判が中心となっていきます
弁護士はミカエルの妹、アニカが引き受けることになります

2作目ではカジュアルなリスベットのファッションでしたが
今作ではパンクスタイルに戻り

さらにパワーアップした攻めの髪型とメイク
慈悲を与えない、気骨のあるヒロイン像というのが新しい

まともに裁判が行われるならば、こちらにはDVDという
切り札があることがすでに私たちには解っています
(リスベットも不正な金とはいえ大金を頂戴しているんですけど)

しかし相手は名高い精神科医
彼がリスベットのことを分裂症と言えば、分裂症になってしまうのです
裁判長に彼の嘘をどう信じてもらうか、苦悩するアニカ





それからは何たって”疫病神”の活躍です
こんな凄腕ハッカーがいたら不可能なことはありません
薄汚いメタボちゃんでもかまわない、私とも友達になって(笑)

実は児童性愛者だった精神科医
そして”疫病神”がハッキングした資料から
すべての悪事が解明されることになるのです





リスベットの無罪が確定し、法廷劇は終わりを告げます

リスベットには父親の遺産が入り、そろそろ終盤にさしかかるとき
そういえば、ダーマンがいたことを思い出します(笑)
そういえば、バイク野郎がいたことも思い出します(笑)


ラストは、リスベットを苦しめていたゴミが一掃されて晴れやかな気分
そしてシリーズを通して魅かれる部分
やはりリズベットとミカエルの純愛でしょう

誰かが守ってくれているという安堵感を
リズベットは少しかもしれないけれど
感じることができるようになったに違いありません





【解説】allcinemaより

全世界でセンセーションを巻き起こしたスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』3部作を映画化した北欧発のミステリー巨編、その第3弾にして完結編。瀕死の重傷を負い病院で身動きのとれないリスベットに代わり、ミカエルを中心としたリスベット救済チーム“狂卓の騎士”が結成され、恐るべき巨悪の全貌に迫るとともに、ついに最終決戦を迎えた法廷での緊迫の攻防がスリリングに展開していく。主演は引き続きノオミ・ラパスミカエル・ニクヴィスト。監督も第2部に続きダニエル・アルフレッドソン。
 宿敵ザラとの直接対決で瀕死の重傷を負ったリスベット。ミカエルによって発見された彼女は、一命は取り留めたものの、厳重監視の病室で外部との接触さえも困難な状態に置かれてしまう。そんな中、亡命スパイのザラを利用して数々の犯罪に手を染めてきた秘密組織が、国家的スキャンダルを闇に葬り去ろうとリスベットはじめ関係者の口封じに動く。そして彼女の運命を狂わせた精神科医ペーテル・テレボリアンと共謀し、リスベットを精神病院送りにするべく狡猾に立ち回っていく。対してミカエルは、妹でもある敏腕弁護士アニカ・ジャンニーニ、リスベットを雇用する警備会社社長ドラガン・アルマンスキーら彼女の数少ない理解者たちを総動員して“狂卓の騎士”を結成し、巨悪に立ち向かっていく。そしてついに、舞台は法廷での全面対決の時を迎えるが…。