キジ撃ちとは多くのキジを放ち、それを撃つという狩猟ゲームで
(主に金持ちが行う)単なる遊び
そのキジ撃ちを、犯人たちが学生時代に行っていた犯罪に例え
その際に殺人も行われたので、「撃ち」でなく「殺し」ということです
1作目ほどのインパクトはありませんが、やはり面白かったです
私は救いのない、容赦ない結末が結構好きなタイプなので(笑)
スカンジナビア三国(スウェーデン・ノルウェー・デンマーク)は
暗いイメージがありますが、女性のレイプ被害はとても多いそうです
そのためか「キジ殺し」での性描写も北欧映画特有の過激さがあります
暴力シーンも相当残忍なうえ陰湿で、犯罪映画ファンを裏切りません
カール(ニコライ・リー・コス)と
新たに秘書ローセ(ヨハン・ルイズシュミット)が加わります
ある日、カールは精神的に病んでしまった元警部の男に
20年前に双子の兄妹が殺された事件を再捜査してくれと頼まれます
それを断ったカール、その男は2時間後に自殺し
遺品にはカール宛ての事件の捜査資料と、猫が残されていました
不愛想なカールですが、猫を連れてくるあたりに
実は「やさしい」人間なのだということがわかります
男の依頼を無視したことを気に病み
1994年に名門寄宿舎学校で起こった事件の調査に乗り出します
資料室には事件を通報した女性の録音テープが残っていました
当時の寄宿舎学校を知る関係者を虱潰しに当たり
その女性が「キミー」ことキアステンであることを割り出します
彼女は学生時代、今は有名な実業家であるディトリウの恋人でした
見ている側には早い段階で、黒幕はディトリウであることを知らされます
そして「刑事コロンボ」にように、犯人と犯罪をどう結びつけていくのか
追い詰めるのかに知恵を絞るのです
ディトリウと、その親友ウルレクはキジどころか
あらゆる生き物、希少動物までを
狩猟のため檻に閉じ込め保管しています
どれをどう殺そうか計画することが楽しみなのです
そんな彼らが高校生だった頃のゲームが
キジではなく人間を痛めつけること
それは、いじめというレベルではありません
明らかに異常で変態
(クリスマス・イブに、こんなレビュー書いてる私も変態)
日曜日ごとに暴力、レイプ、撲殺を行っていたのです
人間の皮を被った悪魔とはこのこと
狙われたら餌食にされるより道はないのです
そして事件は権力とお金でもみ消されてきました
未解決な事件とは、このように権力により
意図的に隠蔽されているのではないかと思ってしまいます
キミーはディトリウの子を妊娠していました
そのことで彼女もまた彼らの餌食になってしまいます
赤ちゃんを死産し、精神を病み、ホームレスとなるのです
ディトリウを殺そうと決意しても
「プリンセス」と呼ばれていたころの思い出が蘇り
手を下すことができません
こんな極悪な実態を知ってしまえば
マークが捜査令状なしにディトリウの家にあがりこんだり
泥棒のごとく証拠品をかっさらってしまう気持ちもわかります
さすがに、頭突き一発でキミーが留置所から脱走して
ディトリウの別荘までやってきたのは出来すぎですが(笑)
しかしそのキミーの持って生まれた暴力性が
マークとアサドの命を救うことになります
最後には悪人全員が成敗されるのは、やはり気分がいい
残酷でなにひとつ希望がない語にもかかわらず
不思議とイヤな感じが残らず、すっきりするのが
このシリーズの魅力のような気がします
欲を言えば、猫と秘書のローセの出番ももっと欲しかったですね
3作目は原作が文学賞を受賞しているらしいので
期待することにします
でもamazonプライム、3作目だけ有料なのですよね
(500円くらい払おうよ 笑)
デンマークの人気作家ユッシ・エーズラ・オールスンによる世界的ベストセラー「特捜部Q」シリーズの映画化第2弾。コペンハーゲン警察署の未解決事件捜査班「特捜部Q」に配属された個性的な刑事たちの活躍を描く。特捜部Qの刑事カールのデスクに、なぜか20年前に捜査終了したはずの双子惨殺事件のファイルが置かれていた。何者かの意図を感じたメンバーたちは再捜査に乗り出し、事件当時に重要情報を知る少女キミーが失踪していた事実にたどり着く。すぐにキミーの行方を追いはじめる一同だったが、キミーを探し続けている人物は他にもいた……。ミケル・ノルガード監督をはじめ前作のスタッフ・キャストが再結集し、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニコライ・アーセル&ラスムス・ハイスタバーグが脚本に参加。「天使と悪魔」のニコライ・リー・カースが主人公カール役を、「ゼロ・ダーク・サーティ」のファレス・ファレスが相棒アサド役を引き続き演じた。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2016」上映作品。