「緊急!自動車がぁ〜とおりま〜す!」
いやあ、強烈でした
コメディを超越した、もうアナーキーです
おバカと人情と喧嘩と下品
「やもめのジョナサン」松下金造(愛川欽也)
(嫁さんがいるのに、仕事先の女性の前では「嫁は死んでしまった」と嘘をつくから)
「一番星」の頭の部分は「日本銀行御用達」、フロントバンパーには「御意見無用」
衣装まで全部一番星仕様になっています(笑)
「ジョナサン」の荷台は巨大な1万円札(聖徳太子バージョン)
桃さんに好意を寄せる女トラック野郎
元々は違う企画の穴埋めでつくられたそうですが
松竹の「男はつらいよ」に負けないぞ!という
東映の強い意気込みを感じます
内容は品性を欠いた寅さんなんですけれど(笑)
それでも寅さんと並ぶ人気となり、シリーズも10作出来たとか
松島や青森のねぶた、仙台の七夕という日本の名所も見れます
仕事が終わると、イキナリ馴染みのトルコ(今では禁止用語)で
赤ふんどし一枚で痴態はする桃さん
いくら人気作品でも、地上波で放映されないのが頷けます(笑)
しかしながら、文太兄いと佐藤允との喧嘩など
今では貴重な映像なのではないかと思います
ドライブインの食堂を無茶苦茶な凄まじさで半壊までさせます
(次の日のシーンでは完璧に直っていますが 笑)
マドンナである洋子(中島ゆたか)の初登場シーンは汚いトイレ
トイレから美女が登場というギャップと
そんな場所で恋してしまう桃さんには笑えます
そして桃さんは惚れた女にはとことん弱く尽くしてしまうのです
そこまでの間に、7人の子持ちのジョナサンが捨て子を引き取り
父親をさがすエピソードがあったり
検問所を強行突破して大けがを負ったりします
こんな公務執行妨害行為ばかり、いかがなものかと思ったのですが
トラックドライバーにとっては、やはり警察は目の敵であり
映画の中で桃さんやジョナサンが警察に立ち向かう姿に
グッときてしまうそうです
ラスト洋子には好きな男(夏夕介)がいることが分かり
二人を会わせるためにトラックを爆走させる桃さん
追跡してくるパトカーを振り切り、通常8時間かかる道のりを2時間半で到着させた桃さん
そこには新記録を達成した清々しさがありました
(スピード違反はやめましょう)
とにかく最後まで、アツくて、クドくて、無意味な作品
しかし、無意味と不謹慎もここまで勢いで貫くと
名作になるのだと知りました
【解説】allcinemaより
トラック運転手による珍騒動を描いた人気シリーズの、記念すべき第1弾。ヤクザ映画で名を上げた菅原文太が新境地を開いた。
11トントラック運転手の星桃次郎は東北のドライブインで出会った新人ウェイトレス倉加野洋子に一目惚れ。三歳の捨て子を拾ったことから、相棒の松下金造と親捜しの旅に出るが、子供の父親は数日前に事故で亡くなっていたことが分かり…。