それでも夜は明ける(2013)




10代のころ「アンクル・トムの小屋」という物語を読み
本気で大泣きした記憶があります(笑)


今では自由や民主主義を、どこの国よりも強く歌い上げるアメリ
実は本音と建て前を、非常にうまく使い分けるお国柄なのかも知れません
しかし、恥ずべき暗部を(映画などを通して)告発するところには
正義と潔さを感じて、私は尊敬しています


南北戦争より約20年前の1841年
北部諸州には、ごく少数ではありますが
「自由黒人」と呼ばれる身分の、黒人の裕福層がいたということです
主人公のソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)もそのひとりで
バイオリン奏者として、妻子とともに豊かな生活を送っていました

しかし、黒人がそのような裕福な暮らしをすることを
決して許すことができない白人というのも、多くいたのです
奴隷は奴隷以外の何者でもない

彼らはソロモンのような黒人を騙し、拉致し、拷問し
奴隷として(金儲けのため)南部に売り飛ばしていたのです

しかも、白人たちは神は黒人を奴隷として与えたという
勝手に都合の良い解釈を宗教の中にして
鬼畜の限りを正当化していたのです





り買いされた奴隷たちの酷使される姿は生々しく
肌の色による優越感だけで、これほど虐待される真実を突き付けられます
若くて美しい黒人女性は、主人の性奴隷とさせられます
そのため主人の妻の激しい嫉妬にあい、ムチ打ちされてしまう
その理不尽さには胸が痛くなります


ソロモンが拉致され奴隷として過ごした日々は12年間
しかし、解放されたのはほんの一部の黒人だけだったそうです
そして彼はその記録を著書として残しました
しかし未だに、差別はなくなっていません

現在では、人種差別による社会的影響を考慮して
欧米の子ども向けのテレビ番組などでは
白人、黒人、ヒスパニック、東洋人(アラブ人は?)も
仲間の一人として、登場させるという配慮があるようです


しかし私は、これからも差別はなくならないと思います
人間なら誰でも、嫌いな人や、気に食わない人がいるのが当然だからです
だけれど、そういう気持ちを我慢して、生活することもできると思うのです

敵対心を、無力な相手に暴力や暴言で表現することには反対です
だいいちそんなことをしても、幸せにはなれません
何かを好きという気持ちのほうが大切で、ずっと幸せになれます
私たちは過去の過ちにに学ばなければいけないはずなのです


作品としては、どうして黒人のなかでも富裕層がいたのか
そういう背景も、理由が知りたいと思いました