木枯し紋次郎 関わりござんせん(1972)




木枯し紋次郎」の続編
脚本は笹沢左保の原作ではなく
野上龍雄によるオリジナルストーリーということ


「半端な金があると、なおさら絶望が深まるものさ」
女が3人の子どもを殺した上、首を吊る導入部分から
ばっちりと暗いです
そしてさらに物語は暗くなっていきます(笑)


赤城の賭場で大勝ちした常吉田中邦衛)は賭場の若い衆追われていました
助けてくれた紋次郎に常吉はぞっこん惚れ込んでしまいます
紋次郎をもてなし、お光という名の女郎をふるまう
その呑んだくれたお光(市原悦子)が歌う子守歌から
紋次郎は彼女が自分の実の姉であることに気が付きます

弟との再会を喜ぶお光
そこで今までの人生をやり直そうと少しでも思うのかといえば
そうではなく(笑)

弟が伝説の渡世人になったと知り
とことんこれを利用しよう とするのです





この地の親分、下滝一家の巳之吉(大木実)がやってきて
抗争相手の箱田の六兵衛との出入りに、紋次郎に助っ人を頼みます
そしてもし助太刀してもらえたら、お光を身請けし店を持たると言うのです
当然ながら断る紋次郎に、姉の身請け金100両(本当は30両)をふっかけます

一方、尊敬する紋次郎のために常吉
ニセの「木枯し紋次郎」を名乗り、六兵衛を襲撃して斬り殺します

そして紋次郎はメンツをつぶされた巳之吉の下滝一家と
常吉に殺された六兵衛の箱田一家、両方に命を狙われることになるのです


罠と知っても姉を助けようとする紋次郎
さまざまな賭場で、身請けの100両を稼ぐものの
それを届けに行こうとした常吉は殺され

誘い出された玉村宿でお光を連れて逃げようとしますが
お光は紋次郎の手を振り解いて、巳之吉に駆け寄ります
そして巳之吉によって斬られてしまうのです

ここで一瞬、昔の優しい姉に戻って「ごめんね」とか言うのかと思ったら
そうではなく(笑)

紋次郎は最後の最後まで救われることはありません
ここまで美学のかけらひとつもない作品も珍しい


今市から紋次郎を追って来た金蔵 (山本麟一)の最期には
「俺が死んでも、次の奴が
 そいつが倒されても、また次の奴が
 テメエが生きてる限り、楽はさせねえ!」
と、捨てぜりふまで吐かれてしまいます
しかし、これが紋次郎の行く先の宿命なのでしょう


どんな不幸な出来事にも打ち勝つ紋次郎はかっこいい
でも弱っているときには見ないほうがいい作品だと思います(笑)



【解説】allcinemaより
同年に公開された「木枯し紋次郎」の続編で、野上龍雄が脚色し中島貞夫が監督した。主演は引き続き菅原文太が務めた。原作を離れたオリジナルストーリーが展開。
 人を斬ったため追われる身となった木枯し紋次郎は、かつて命を救ったことがある常平と再会。旅籠で女郎のお光をあてがわれるが、口ずさんだ子守歌を聞き、彼女が自分の実姉であることが分かる。幼いころ、売られていった姉を捜し求めて放浪の旅に出たのが、今の紋次郎だったのだ。宿場の親分である巳之吉は、お光の借金百両の代わりに紋次郎を仲間に引き入れようとするが、紋次郎は百両を自分で返すと拒否。常平は巳之吉が紋次郎を卑怯者呼ばわりしたことに腹を立て、紋次郎を名乗って殴り込みをかけ、六兵衛を斬り殺してしまう…。